秋酣、霜月。
収穫が完了するこの月。
農事の折り目の霜月は、一年
間の労働から解放される喜びの
月でもあった。「霜月祭り」は収
穫した新穀を神に供え、豊饒を
感謝する祭りで、
宮中では 「新嘗
祭」と云い、天皇が
収穫されたばかり
の神聖な稲を神に
供え感謝する祭祀
を営む (11月23
日)。現在は勤労
感謝の日とし勤労
を尊び、生産を喜
び、国民がともに
感謝し合う趣旨の
国民の祝日となっ
た。
欧米、特に米国
では、この時期
「ハロウィーン」で戸口に悪魔除
けの南瓜を掛け子供達は 「Trick
or Treat」と云って楽しく菓子
をねだって廻り、それが終ると、
十一月第四木曜日の 「収穫感謝
祭Thanks Giving Day」を祝う。
秋はこのように楽しい祝いの
時であると同時に冬を迎える為
活力が衰える時でもある。その
為活力を吹き込む神事の役割も
ある。
学校でも一年間の活力を吹き
こむような行事が二学期に多い。
高二の中国研修=日本文化の
淵源を辿り、現代中国を確認す
る=、高一の長崎平和研修、中
三の奈良、中二の会津若松そし
て中一南房総研修とそれぞれの
課題をこなし元気を回復して
帰ってきた。
そしてこの時期、生徒諸君の
「知的生き甲斐」を求める「読
書週間」が催される。十月二十
七日の「文字活字文化の日」か
ら二週間。今年の標語は 「しお
りいらずの一気読み」
「読書」の「読」は「声を出し
てよむ」意だから、たまには
朗々と声を出してもよいだろう。
欧米でもこの朗読はよく行なわ
れる。
ところで、今年「読書週間」
の始まる前日早暁、小島信夫が
亡くなった。安岡章太郎、吉行
淳之介氏等とともに「第三の新
人」と呼ばれ戦後文学を代表す
る作家である。
「20世紀は分からない芸術作品
を生み出した。それ迄はそんな
ものはなかった。」という有名な
テーゼがあるが、小島の作品群
は「えんえんたる言葉。どこで
始まってどこで終るのか、つか
みどころのないような無限言語、
これは小島文学そのものだ」(高
橋英夫)、「小島さんの小説は頭
で理解しようとしても駄目で全
身を使って読まなくてはならな
い。評論家が主導してきた日本
文学の読み方を大きく変えた作
家」(保坂和志)と評される。
この小島作品の系譜は、今年
生誕百年として注目されている
アイルランドの作家サミュエ
ル・ベケット(’69ノーベル賞)
の作品群「モロイ 名付けえぬ
もの マローン」 の三部作やサ
ン・クエンテインで初上演され
た話題作「ゴド−を待ちながら」
等の戯曲群に共通する現代人の
絶望を描く不条理の作品に連な
り、没後五十年として今年話題
となっているバート・ブレヒト
(ガリレオの生涯、三文オペラ
等)の作品にもつながる。又更
には人間存在の不条理を表現し
た「変身」「城」等の作品で有
名なフランツ・カフカ (先取的
実存主義作家・今年、カフカ文
学賞を村上春樹が受賞)に連な
る。
どうして20世紀はわかりにく
い芸術作品を残したのだろう。
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