えんじゅ:215号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCXT)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


秋酣、霜月。
 収穫が完了し、農事の折り目 のこの月は、第二次大戦までは 明治天皇の誕生日、十一月三日 ではじまった。戦後この日は新 憲法公布の日、すなわち文化の 日となっている。 そして「新嘗祭」 現在は「勤労感謝 の日」として勤労 を尊び、生産を喜 び国民がともに感 謝し合う国民の祝 日となった十一月 二十三日で終わ る。
 欧米諸国でも、 特に米国では、こ の月には「ハロ ウィーン」 が行 事となり、こど も達の 「Trick Or Treat」と云って菓子をねだって 廻る楽しみ、そして十一月第四 木曜日の「収穫感謝祭Thanks  giving Day」が視われる。  秋は、このように楽しい収穫 を祝う時であり、冬を迎える活 力を吹き込む神事の後割が必要 となる時でもある。
 学校でも、一年間の活力を吹 き込むような行事がこの二学期 に多い。高二の中国研修=日本 文化の淵源を辿り、現代中国を 確認する=と九州研修=文化伝 来の窓口を確認=、高一の長崎 平和研修、中三の奈良、中二の 会津若松、そして中一の南房総 研修とそれぞれ本校らしい行事。  更には、「新しい出会いを」 (標 語)と読書週間が催される。
 生徒の「知的生甲斐を求める」 活力注入の週である。読書の読 は声を出してよむの意だから、 たまには朗々と読み上げるのも 楽しいことになろう。
 ところで今年は、日本の伝統 文化にとって「源氏物語千年紀」 という大変記念すべき年である。  世界最古の長編小説と云われ る紫式部の著作「源氏物語」が 正式にその存在が記録されてか ら今年で千年目に当たる。(寛弘 五年千八年、紫式部日記)
 文化とは「人間が自然に手を 加えて形成してきた物心両面の 成果で、衣食住をはじめ、技術、 学問、芸術、道徳、宗教、政治 など生活形態の様式と内容とを 含む」 (広辞苑) とある。ここ で、日本の文化に深く広く影響 を及ぼす二つの大きな事象がお きた。バラク・オハマの米大統 領当選のニュースと、もう一つ は四人の日本人科学者達のノー ベル賞受賞。
 若者が夢を持てないと云われ る理由に、「閉塞感」 が挙げら れるが、「Change」(変革) を、 そして、「Empathy」(感情移 入・恕) を主張することで、若 者に未来への希望と期待を懐か せたオハマ現象と云われる事象 は私達の文化に少なからぬ影響 を与えている。黒人奴隷輸入か ら389年、奴隷解放宣言(リ ンカーン) から145年、アフ リカ系政治家が頂点に立つ。米 文化も大きく変化しょうとして いる。
 また、ノーベル賞受賞ニュー スは私達日本の文化に強い刺激 を与えてくれている。
 昭和年間(18人)、平成年間 (31人) に日本では文化人切 手が発行されている。野口英世 (医)、木村栄(天文)、寺田寛彦 (物理)、関孝和(数学)、鈴木梅 太郎(化学)、長岡半太郎(物理)、 中谷宇吉郎(物理)、北里柴三 郎(医)、田中館受橘(物理)が 文化人切手に選ばれた科学者達。 科学も芸術もともに人生の記録であり予言であるところにその本質を同じくする。(寺田寅彦) 自調自考生よ元気、元気。 。

えんじゅ表紙へ

学校表紙(もくじ)へ

平成20年(2008)12月13日改訂