えんじゅ:221号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCXT)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫


   平成二十一年六月、日本では一 年中で最も昼が長く、夜が短い 月である。  暗い印象を与えるのは、勿論、 BAIU「梅雨」のせいである。  学術用語として世界に通用す るコトバである梅 雨のせいで、北海 道を除く、日本全 土が、暗くジメジ メとしたところに   なる。紫陽花の美 しさが暗さの中に 一際目立つ時でも ある。  又、世界の中で も、日本は地球平 均の二倍の降雨量 に恵まれる国でも ある。(東京の年 間降雨量1563 m/mは、ロンドン、パリ等の年 間500m/m前後と比べ、図抜 けて多い。)国土の70%以上が森 林地帯で緑に恵まれているのも、 この多雨による。  五月尽。  五月の快適な季節が終り、梅 雨を迎える気分を表わす季語で あるが、その時期に学校は、スポー ツフェスティバルを終え、中学校 の研修=野田・鎌倉を終了して いる。  今年、新型のインフルエンザ の感染拡大が地球規模の話題と なっている。swineb己豚インフル の言葉がニューズウィーク誌や新 聞誌上に躍り心配が拡がる。そ こで起きた混乱から、私達はいろ いろなことを学ぶことが出来た。  そもそも今回のインフルエンザ 騒動には、ミクロのレベルでの病 気の分類が出来るようになったこ とが背景としてある。  従来、季節型インフルはAソ連 型、A香港型、B型の三種類ある とされ、それぞれにワクチンが存 在する。今回の豚インフルは、A ソ連型とウイルスの表面抗原HI Nlは同型でも、ウイルスの遺伝 子レベルの差によって峻別する方 法でしか鑑別出来ないもので、既 成のワクチンは効かない。新型で あるということと致死率が高いと の報道で不安が世界規模で増幅 した。  しかし現在は、危険性は季節 型とそれほど大差がないというこ とが判明し、事態は沈静化しっつ ある。  丁度、今回の騒動最中に本校 生徒が米国ニューヨークで開催さ れた模擬国連大会(世界中から 高校生2300人参加) に日本 代表チームの一員として参加(5 月15日〜17日) したことから私 自身もいろいろなことを経験させ られた。  幸い、本校生徒を含め、代表 チームの面々は新型インフルに罷 ることがなかったが、日本の社会 がこうした危機管理という面で 全く弱く、意外なほど感情的で あることに喫驚させられた。  今回の場合では、ウイルスとの 接触は発症の必要条件であって 十分条件でない。感染の成立や ウイルスの増殖は、宿主側の免疫 力、栄養状態やストレス等の諸要 因との兼ね合いで決まる。病気の 転帰や拡大も患者のケア体制や 地域の公衆衛生のインフラが大き な要因となる等の冷静な判断が 必要で、何かわけが分からないも のが外国から来るといった感情的 な反応だけでは、混乱を増殖す るだけである。今後必然とされ る国際化の時代には十分に心し ておかねばならないことだろう。  「危機に対し無視したり、必要 以上に怖がることは簡単である。 必要なだけ怖がることが大事で あり、最も難しい」(寺田寅彦)

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平成21年(2009)7月6日改訂