渋谷教育学園幕張中学高校の二学期が終了する。
短い冬休みの後、登校する時は、二十一世紀十一年目だ。
暮れ十一月、国際連合(UN)の事務次長を務められていた「明石康」先生の
進路講演会が開催された。国際連合の前身「国際連盟」では、「武士道」で
有名な新渡戸稲造先生が事務次長として活躍されたことが大変有名である。
新渡戸先生は現在のユネスコの前身となる「国際知的委員会」
(メンバーはアインシュタイン、キューリー夫人、ベルグソン、マレー等々)
の設立活動に大奮闘し、世界平和構築に大きく貢献された。
明石先生は、ご自身でもご紹介されていたようにその在任中、
アフリカ最大の国スーダン西部のダルフール地方で国連史上最大規模となった
「平和維持活動」PKOの責任者として活躍された。スーダンはアフリカ大陸
最大の国。日本の七倍の広さで、青ナイル、白ナイルの両河川が貫流して、
首都ハルツームで合流、アフリカ最大の河、人類最古の文明の揺籃「ナイル」の源
となる国である。その名はアラビア語で「黒い人の国」を意味しているが紛争の
もとは国内のアフリカ系とアラブ系の対立である。宗教も関係して紛争は
泥沼化し、国連の平和活動の最大のテーマとなっている。20万人以上が死亡し、
250万人以上が難民化しているという。このような世界規模の人類の不幸な
出来事に日本の若者は積極的に関心を持ってほしい。
バーチャルな世界に耽溺することなく、内向きの思考を改め、リスクを
回避することばかりを考えないで、国境の壁がどんどん低くなり、環境問題
(京都議定書)、生物多様性問題(名古屋議定書)が人類の最重要の問題と
なってきている現在、若者は「柔らかい感性を育て」「弱者を救済する事」
に夢を持ってほしい。
講演は生徒諸君の熱心な質問もあって、若者の未来に対する姿勢も窺えら
れる感動的な時間であった。
二十一世紀は国際社会で働くことと、国内社会で働くことは同じなのだろう。
明石先生のように国際公務員として活躍するもよし、NGOとしての活動も
これからは大いに期待出来る。日本ではまだ仏の「国境なき医師団」、
英の「オクソン」、米国の「ケア・インターナショナル」のような大規模な
NGOが組織されていないのは残念なことであるが。
最後にこうした活動に絶対に必要なものとしての「英語」について。
事実上の世界共通語となっている「英語」についてはロバート・フィリップソン(英)
の「言語帝国主義」という面白い本がある。「英語が世界中で使われる際、
大事なことはeither orでなくboth andだ」。つまり外国語を身につける際、
自分の本国の言葉が大切だということを言っている。
そして身につける外国語は一つより二つ、二つより三つの方が良いと述べる。
五ヵ国語のPolyglot、ユネスコ事務局長ボコバ女史を見てつくづくそう思う。
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