えんじゅ:263号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCLIV)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫

 

   七月、文月、八月、葉月。
   夏至、小暑、大暑、といよいよ夏の季節。そして夏の土用は、立秋前の十八日間のことだが、土用入りのころ学校は夏休みに入る。
   いよいよ平成二十五年度は一学期を終了する。
   地区別父母との懇談会(前期報告書参照)、授業公開研究日、メモリアルコンサート(高二 成家悠太 ピアノ協奏曲演奏)、中学研修(野田・鎌倉)、歌舞伎鑑賞教室(高一)、オペラ鑑賞教室(高二)で一学期は幕を閉じる。
   四季の他に日本では自然の移ろいが取り入れられている二十四節気と七十二候という呼び方がある。不思議なことに七十二候では季節それぞれの出来事をそのまま名前にしている。
   この時期(新暦では7/17〜7/21頃)は、「小暑、末候、鷹乃学を習う」となる。鷹のひなが巣立ちし、獲物を捕らえ、一人前になっていく時期と重なる。
   群青に雲刷く朱夏の国大和
   太田 鴻村
   鷹ならぬ生徒諸君も、ここで毎日の生活の過ごし方の主導権を学校から取り戻し一人一人が自分の持ち時間をどのように使うかを自由に決める夏休みに入る。毎日、ほぼ十時間に余る時間がある。期間は六週間。
   「家の作りやうは夏をむねとすべし」(徒然草・兼好法師)とあるように、高温多湿の日本の夏は、その過ごし方に最大の「自調自考」を必要とする。
   毎年伝えているが、この夏の過ごし方によって二学期以降さらにその先迄含めた学校生活に大きな影響を齎すものなのであるから、充分に自覚自重して、実りのある六週間にしてほしい。
   「習慣は第二の自然である」(モンテーニュ)とあるように、大事なのは夏休み中の生活習慣を計画して正しく身につけることだ。
   「努力によって得られる習慣だけが善である」というカントの言葉を噛み締めてみたい。
   「若いうちは何かになりたいという夢を持つのは素晴らしい。しかし同時にもっと大切なこととしていかに生きるかということがある。日々の行いを選び積み重ねること、その努力こそが良い習慣を身につけさせ、人生の行方を決めるのだ」(串田孫一 詩人・哲学者・随筆家、山の随筆が有名)
   脳科学の研究によると、脳の働きから考えると人はとりあえず行動があって、その後に目的や成果がついてくるのだそうである。
   何よりも行動、そしてそれを支える善い習慣。これで夏休みを乗り切っていこう。
   世界をリードしているアップル社の創業者、故スティーブ・ジョブズ氏の活躍した米シリコンバレーのある中学校の卒業式(2013年6月12日)で「世界には二種類の人がいる。より良い世界に変える人と、居心地の悪い場所にする人と。君達はどちらですか」と校長が呼びかけた。卒業生は次のように挨拶した。「私もより良い世界に変える人間になりたい。」
   より良い世界に変える為に、夢を持ち、その実現に「今」努力する少年達に心から期待したい。「運命と未来」は人任せには出来ないのだ。
   自調自考生達に。
   心して夏休みを過ごそう。

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平成25年(2013)7月19日改訂