えんじゅ:266号

校長先生講話


「自調自考」を考える

(そのCCLVII)


幕張中学・高等学校校長

田 村 哲 夫

 

   渋谷教育学園幕張中学高等学校の二学期が終了する。
   そして冬休み。短く、そしてあっと云う間に過ぎてしまう、しかし大切な時間帯。どうぞ心してしっかり使ってほしい。
   三学期は二十一世紀十四年目となり、愈々本校にとって三十二年目となる年を迎える。
   この時期、一年でもっとも昼が短く、夜が長い冬至(とうじ)を迎え、古代には一年のはじまりであったこの日、柚子(ゆず) の香りや薬効で体を清める禊(みそぎ)の意味で柚子(ゆず)湯(ゆ)がある。
   新しい年の予感を楽しみ悩む時でもある。
   今、三十年の歴史を背負った渋谷幕張中学高等学校の眼前には、近代といわれる時代、即ち国民主権、国家主権の下、民主主義思想によって統治され、独立国家として統合されてきた人類社会が、グローバリズムという新しい発想に移行し苦悩している姿となっていることに気付く。若者の四人に三人は先行きに不安を覚え、未来に悲観的と云われる日本の現実がその苦悩を具体的に示していると考える。
   そして今年の十一月、五日から二十日に亘(わた)ってパリで開催された第37回ユネスコ総会に、私は日本国政府代表顧問として参加しグローバリズム社会の悩みを実感した。
   隔年開催の総会には、今回各国から元首級五名、閣僚級は百四十名以上を含む総勢三千名以上参加した盛大なものであった。
   総会冒頭、一般政策演説が各国代表により行なわれ、我国からは、ユネスコに「二〇一五年以降の教育アジェンダで世界をリードする」ことを求め、更に「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development = ESD)の一層の推進」を求めた。
   来年十一月愛知県名古屋市と岡山県岡山市で開催する「ESDに関するユネスコ世界会議」に各国閣僚級の出席の呼びかけを行うとともに、「サスティナビリティ・サイエンス(Sustainability Science)」の推進の必要性等について述べた。
   また二〇一四~二〇二一年のユネスコ中期戦略及び二〇一四~二〇一七年のユネスコ事業・予算を審議採択し、その位置付けが明確となった「国連ESDの十年(二〇〇五~二〇一四)」の後継プログラムとして「グローバルアクションプログラム」が採択され来年の第69回国連総会へ提出されることとなった。
   その他に、次期ユネスコ総会で最終決定される「高等教育に関するグローバル条約」(高等教育機関の国際連携の策定についての議論や各国の国内委員会
会長会議が行なわれ、日本からは特にポスト二〇一五アジェンダにおける教育のあり方、そこでのESDの明解な位置付けを求めた。
   注目すべきこととして、今回総会に先立ち「ユースと社会的包摂、市民参加、対話、能力開発」をテーマとする「ユース・フォーラム」が開かれ十の勧告と十五のユース主導プロジェクトが採択され総会に報告了承されたことである。
   この経験で私達は「ESD」「Sustainability Science」に対する国(くに)毎(ごと)の理解の大きな違いにびっくりする。この問題はグローバル社会が起こしたものだが まだ解決していない。次回には文化の真正性の問題と共に報告する。

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平成25年(2013)12月27日改訂