えんじゅ:281号  


2015年度入学式(2)

 

みんなでクレッシェンド♪
中学一学年主任 荒木


 ドキドキ&わくわくの入学式から約一ヶ月が経ちました。渋幕の学校生活には慣れてきましたか?最近は、中学棟の一階ホールに出ると、あちらこちらの教室から皆さんの明るく元気な声が聞こえてきます。授業でも、鋭い意見や豊かな発想がどんどん飛び出して、そのアイデアに驚いたり感心したりの連続です。  さて、皆さんはこれからの六年間で身体も心もだんだん大きく成長(クレッシェンド)していきます。特に精神的な部分と知的な部分の成長は誰にも予測できないほどの可能性を秘めています。そして正しい成長に不可欠なのはバランスの良い栄養です。幸いなことにこの渋幕では、皆さんが自分自身でその気になれば、栄養たっぷりの美味しい経験がたくさんできます。勉強はもちろん、スポフェス・文化祭・研修等の行事や部活動等もすべて仲間と共に大きく成長するための貴重な栄養源です。  様々な経験を通して、①今の自分を見つめる、そして②ワンランク上のステップに引き上げるには何をすればよいのかしっかりと考えて実行する。このサイクルが「自調自考」の精神で上手く作れると、自分の成長を実感できて、学校生活もより充実したものになるはずです。  そのために、まず周りのことが見えて、謙虚に自分を振り返ることができる大人への第一歩が大切です。そして友達と様々な場面でお互いに高め合いながら、これからの六年間みんなでバランスの良い成長(クレッシェンド)をして素敵なハーモニーが創れることを願っています。
 

「問い」を持ち続ける
高校一学年主任 吉田


社会人になると、中学時代の記憶はほとんど薄れてしまいます。一方、高校時代の記憶には、現在に至る原点(原石)に当たる体験が見つかる、そう思えます。その違いは、時間的な遠さによるものではないはずです。中学時代は一生の中でも多感ですので、この時期の体験は感情的に刻まれます。一方、高校時代には「自分」の自覚を通して体験をする、意思によって体験を選ぶ。そして体験は新たな思考となり、次の体験の土台になっていきます。迷い、悩み、考えることによって、自分を作っている新鮮な実感が(必然的に孤独感でもある)、高校時代ならではの特色と言えます。この点で、その後の生き方の出発点と言えるのでしょう。  中学と高校の体験の違いには、「自由」との関わりも見えてきます。中学時代には、「なすべきこと」が示され、従うことが求められます。高校では、社会に準じて、「なすべきこと」を決めるのは原則的に「自分」であるはず(べき)です。では、「自分」は、何に基づいて判断し、決めるのか。そこに、互いの(今後の)生き方の違いが重なってきます。学び方も生き方と重なります。誰もが同じである生き方がないように、学び方も異なります(ここで言う学び方とは、授業の受け方とか、受験勉強の方法のことではありません)。一方で、私たちの異なる学び方が「なすべきこと」を生み出してもいます。その連鎖の中の瞬間に、答があるはずはありません。私たちは、一生をかけて「なぜ学ぶのか」「なぜ生きるのか」問い続けることになります。高校生活は、その強い一歩だと言えます