えんじゅ:296号  


 

 

進路講演会 大島先生


  十一月二十五日(金)進路講演会を、本校四期生、神奈川大学教授で英語落語家としても著名な大島希巳江先生をお招きして実施しました。  演題は「国際社会で活躍するグローバル人材:異文化コミュニケーションとユーモア力」。大島先生はまずご自身の本校での生活や、アメリカの高校への交換留学での異文化体験が、今の自分の原点にあることを語られ、その後の経験から、世界各国はそれぞれ歴史や文化に彩られた英語のスタイルがあり、そうした背景の違いを説明できるのがグローバル英語であり、説明できるのがグローバル人材だと定義されました。そして、異文化コミュニケーション(Intercultural Communication)とは「自分の常識以外の常識と付き合う」ということであり、多文化環境への適応能力として「ユーモア力」が重要であると述べられました。さらに、「ユーモア力」は「Skill of Communication」であり、自ら工夫して身に付けることが肝要であるとも説かれました。そしてユーモアとは「常識からのズレ(不協和)」であり、「Think out side of the box(自分の常識で考えないこと)」の例題が事前にプリントで配布され、回答者が登壇するなど会場が大きく盛り上がりました。「多文化多民族社会におけるユーモア」というテーマでは、ユーモアのある人はストレスを溜めにくく、健康も維持され、逆境に強く、チームワークがとれ、多様性と柔軟性に優れているとして、リーダーの資質としてのユーモアの意義と必要性を熱く説かれました。  最後に「英語落語」について、英語落語家は「英語の好きな人が落語家になる」のではなく「落語の好きな人がそれを世界に伝えたくて英語落語をする」とのことで、次の機会には英語落語の披露を約束してくれました。経験に裏打ちされた、グローバル社会に生きるための柔軟な発想を披露いただき、とても有意義な時間を過ごすことができました。
 

キャリアガイダンス2016


  十月二十二日、高二年生を対象としたキャリアガイダンス(大学ガイダンス改め)が実施された。本年度の講師は、久保聡さん(30期・東大文Ⅰ一年)、矢代聡佳さん(27期、早大大学院)、杉田恵さん(21期・東大大学院修了・メリルリンチ日本証券)、福田かおるさん(19期・東大卒・農林水産省)の四名。本年度は、学生、大学院生、社会人、さらに、文系と理系、民間と公務員、男女等の対比も十分に考慮して、人選させていただいた。受験に対する心構えから、大学での学びと生活、大学院での研究、企業人としての生活、公務員としてのモチベーションなど多岐にわたる内容でお話をいただき、生徒たちにとって本当に有意義な時間となった。今後の二年生の進路意欲のさらなる向上が確信できる素晴らしい講演であった。
 

数学キャラバン来校


 311が起きる直前の2月〆切の本校シラバスに「‥‥数学が大多数の人に理解されていたなら東北地方に起きた、過去の沢山の悲劇を大きく軽減出来ただろう‥」 と記して慄然としました‥‥‥。  17回JST数学キャラバンが11月12日来校しました。  冒頭18期生の荻原哲平さん統計数理研究所、助教(理博)からJST科学技術振興機構の概要説明がありました。その後川原田茜先生(京都教大講師)のセルオートマトン=(自律運動因子→筆者訳)の講義でモニター上に消滅増殖のコマンドを持つセルをセットすると一定時間経過後、フラクタル=数学的幾何学模様に収束するライフゲームになる、という内容でした。  続いて杉原厚吉明治大学教授の「脳はなぜだまされるのでしょうか」という副題付きの不可能立体のお話でした。内容は、円筒形に見えるが、鏡には四角に映る特殊な形状の立体が、脳と視覚の根源的な錯覚を顕わにする、印象強い展開でした。即空間における生理的・日常的思考と数学思考の差異に深い認識を迫るお話でした。続いてCT撮影した体内の様子を画像に変換する際に使われる数学の関数の紹介と仕組みが説明されました。これは大学数学の微積分の理解がないと分からない内容でした。  最後は坂上貴之先生のお話で「めずらしさ」と「あたりまえ」という題で、生活感覚と「確率」の乖離のお話でした。  文頭に掲げた感情をさらに強くした一日でした。 (私的感想です。化学で学ぶ理想気体は等方向の運動ゆえ、PV=nRTが成り立つとする。しかし生物学のオルガナイザー、物理学の宇宙創造過程で発生するボイド(巨大な空洞)などは物質が意志を持って運動しているように思える。これこそ!オートマトンではないか?)