えんじゅ:146号
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5月31日と6月14日に、 生物の特別講義が啓発室で行わ れました。講師には東京薬科大 学教授の安田先生をお招きしま した。テーマは、初回が「ガン 遺伝子」、2回目が「ガン抑制 遺伝子」でした。 発端は安田先生の何気ない一 言でした。 「将来を決める時期にいる高校 生を啓発してみたい。1回限り の講演ではなく、連続した講義 をしてみたい。」その言葉通り、 熱のこもった講義は両日とも2 時間に及びました。専門用語を 極力避ける細やかな配慮と、ガ ン研究の先端に迫ろうとする際 の迫力は、確実に生徒達にも伝 わったことでしょう。 生徒の側も、通常の7時間授 業の後にも関わらず、80名を越 える生徒が熱心にノートに鉛筆 を走らせていました。 初回は、ガン遺伝子rasを 中心とする内容でした。ガン細 胞の特徴から始まり、ガン遺伝 子になり得る遺伝子とはどのよ うなものなのかを解説して下さ いました。Rasタンパクのカ スケードなど、専門的な内容を 織り交ぜながら、細胞が増殖に 向かう機構を丁寧に説明して下 さいました。 2回目は、細胞のガン化を抑 える遺伝子が講義の中心でし た。p53等のタンパク質の機能 とともに、ガン細胞がテロメラ ーゼ活性を持つことにも触れて 下さいました。2回目で、生徒 の人数は3割ほど減りました が、逆に質問をする生徒がぐっ と増えました。2時間たっぷり の講義の後で、1つ1つの質問 に丁寧に応じて下さる安田先生 の姿が、殊に印象的でした。 また、折に触れて、研究者で あること、という視点でもお話 しして下さいました。 「やっとここまで来た。しかし、 まだまだ分からないことだらけ である。この先は、君たちの世 代の課題になる」という言葉 が、度々安田先生の口から発せ られました。担当者である私自 身、安田先生から5回ほどの講 義をボランティアで、と伺った 際には、正直、驚きました。し かし、先の発言が、遠く八王子 から来校してくださる安田先生 の真意を、明示しているのでし ょう。 3回目以降は2学期に予定さ れます。テーマは、ゲノム分析 と遺伝子治療、クローン研究等 を予定しています。 (生物科、中谷)
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