えんじゅ:146号

前期地区別保護者懇談会報告
校長  田村 哲夫

 木々の葉が繁り梅雨のはしり の頃から始まった、地区別保護 者懇談会(前期)が7月1日を 最後に8地区総てを終了いたし ました。この懇談会は、「開か れた学校」の1つの位置づけと して年に2回、春と秋の恒例行 事となっています。人間形成途 上の最も重要な時期である学校 生活を、親子共に有意義に送っ て頂くために、本校教育に関わ る様々な情報をお伝えし、その 上でいろいろとご意見、ご要望 を伺い、教育に生かすことを目 的としています。拝察したとこ ろ、お子様の先々の学校生活へ のご関心から、新入生の保護者 が多数参加されました。そのこ とを踏まえ、最初に本校のアカ ウンタビリティ(説明責任)を 象徴する学習全体の構造を見通 すことのできる教科指導の「シ ラバス」、そして進路学習に関 わる中学・高校別の進学情報の ガイド冊子、1人1人の進路の 個表、高3時の進学要覧などを ご覧いただき、本校教育の要の 部分を解説しました。進路学習 の積み重ねが進学実績の結果に つながっています。

 また、「シラバス」には校長 講話の年間計画表も載せていま す。中・高生の時期はアイデン ティティ、つまり自分らしさを 形成する大切な時期です。知性 と感性を伸ばし、自我意識を高 めて、自己を確立していかなけ ればなりません。その延長線上 に進学があり、社会人としての 責任を果たすことが可能な人格 の完成があるのです。校長講話 は生徒の人間形成を意識して発 達段階に相応したテーマに沿っ て語りかけ、「自調自考」を促 す機会としています。

 本年度から新たな試みとして 「授業5日制」を試行していま す。本校の特徴を踏まえ、従来 の学習時間を削減せず、大きな 行事は土曜日に設けて学力維持 に努めています。現状はおおむ ね順調ですが、今後の実効性を 見ながら検討していきます。

 もう1つの試みは、校長から の提案として、「ボランティア・ 体験活動」を薦めているところ です。「自分で決めて自分で行 動できる」、このことはこれか らの社会で必要とされる前提で あり、人生を豊かに生きる鍵だ と思っています。

 近年、子供たちの規範意識の 低下が大きな問題となっていま す。家庭教育の国際比較データ によると、「子供は明るく、朗 らかに」育ってほしい、行動の 基準は、「損か得か」の発想で しつけが行われています。規範 意識=マナーは文化によって違 うものであり、優劣では比較で きない多様な考え方があります。

 かつて日本には自己拘束を基 調とする「恥の文化」がありま した。このことを意識して、こ れからの本当の意味の「自由」 な社会を生きる日本人は、核に なる何かを持つ必要があると思 います。孔子の「博文約礼」と いう言葉は、広く学問を究め、 礼=マナーを重んじることが人 格の完成に至ることを教えてい ます。家庭は全ての教育の出発 点です。それぞれのご家庭が親 から子に伝えるべきことを伝え、 次世代への責任を果たす必要が あると思います。父親も家庭教 育に参加して、その影響力を大 切にしてほしいと考えます。


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平成13年(2001) 9月 5日改訂