えんじゅ:157号

高2 中国修学旅行

1団:10月6日〜11日
2団:10月7日〜12日


 5泊6日という短期間では、とても中国を語り尽くすことはできない。しかし私達が訪れた3都市は、どこも新鮮な感動を与えてくれた。

 中国の現在といわれる北京では、人々の多さと中国語の迫力に圧倒され、過去へ誘う西安では、古都の面影に日本への郷愁をかき立てられ、 そして未来を語る上海では、夜景の美しさとそのめざましい発展ぶりに思わず息をのんだ。

 316の思い出ができた。すべてが自分たちの肌で感じたものであることに意義があろう。


『四千年の風』    2年D組  田中

 中1以来の集大成となる今回の修学旅行の見学地は、中国であった。集団秩序と生徒交流を目的とした館山、 現代に歴史の息吹く街を実体験した木曽、日本の古文化の中心都市、奈良、そして、現代史のもっとも醜い 断面を伝える広島、どの研修にも明確な目的があり、その達成に努めてきた。こうした流れに従って、中国研修の目的を述べると するなら、それは歴史探訪と異文化体験とに帰結できるのではなかろうか。

 日本と中国の関係は、遅くとも弥生時代には始まった。シルクロード時代を待つまでもなく、稲作・漢字・仏教や窯業・農業の最新知識まで、 中国が日本の基礎作りに果たした役割は大きいとされる。そのため、日本と中国の類似点はしばしば指摘される。

 その一方で、日本と中国には見逃せない相違点もある。それには、いくつかの要因が考え得るが、中でも最も重要なのは、日本は島国であるのに対し、 中国はユーラシア大陸に位置するという地形的要因であろう。現在の中国の領土は世界で第3位を争うほどの広大さであり、歴史的に見ても、 多少の増減はあるにせよ、アジア有数の領土を持つ超大国であった。その反面、北・西・南の三方から常に他国の侵略の危険にさらされており、 それが強力な自国意識をそだてるもとになった。また、長年にわたる政治的、文化的優位さは独自な意識を抱かせることとなった。 国際交流の活発さや、風土的多様性も中国に影響を与えてきただろう。

 さて、実際の中国はいかなるものだったか。まさに、私が研修前に漠然と感じていた、親近感と疎遠感がないまぜになった、複雑なものだった。 確かに、私の目にする中国に至る所に日本の原型があった。その一方で、それは日本と全く異質なものでもあった。 故地に帰ったという安らぎよりも、むしろ場違いなところにいる疎外感を抱いたのは私だけではないだろう。

 日本と中国という地理的にも歴史的にも近い両国が歩んできた道は密接な関係を保ちながらも、独立している。 しかし、その日本的でない世界に触れることで、日本的という輪郭が浮き彫りにされるのを感じたのも事実である。

 実体験による相互理解の価値は計り知れない。肌で感じた中国の風が日本の空気と融け合ってきたさまを、 私たちはこれから見ることになろう。そしてそれは、私たち一人一人の成長の証なのだ。


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平成14年(2002)11月27日改訂