えんじゅ:163号
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梅雨入り前のぐずついた天気が続く中、珍しく晴れ間を見た5月29日、中学1年生271名は野田研修を行った。 無事研修を行えたのは、彼の能力の高さ・意欲的な取り組み姿勢によるものだったろう。 「ものしりしょうゆ館」「上花輪歴史館」「御用蔵」の見学の中でも、生徒達は、あらかじめ用意した質問を次々に発して、 熱心にノートし、事後の研修レポート作成に備えていた。
ぼくは、中学生として初めての研修ということもあって野田行きに少なからず緊張していました。 事前に、野田への行程表や時刻表のプリント、野田研修委員が作った数々の情報を盛りこんだプリントが配られたおかげで 読み返しているうちに緊張もだんだんとほぐれていきました。 そして、当日、迷うことなく時刻も予定どおりに行くことができたので、ほっとしました。 始めに、「ものしりしょうゆ館」に行きました。プリントで学習したものより、映像をもちいての係の人が説明の仕方が わかりやすかった為に、良く理解できました。しょうゆを造るのに「キッコーマン菌や乳酸菌、酵母菌」などの菌やいろいろな 機械を使って、もろみから、ゆっくり時間をかけ、しょうゆを造っているという細かい所まで、理解することができました。 御用蔵は現在でも皇室御用達のしょうゆを造っています。 「茂木佐平治家」や御用倉の歴史、しょうゆを造るのに昔、使っていた珍しい道具類や機械の名前、 原料は全て国産のものだということなどを、係の人が、詳しく説明してくれたので、とてもよくわかりました。 僕達の沢山出した質問に1つ1つていねいに答えて下さり、感謝しています。次に、高梨本家上花輪歴史館に行きました。 そこでは、館長の高梨兵左衛門さんが自ら、僕達に、しょうゆを造るのに使っていた道具などを詳しく説明してくださったので、 うれしく思いました。また、立派な作りの庭には、何百年も生き続けている松の木に驚きました。とても今では見ることのできない 部屋や、江戸川に通じている堀に、舟がつながれているのを見ることができました。庭に、竹林や珍しい草木などが茂り、 小さな神社や茶室もあって、それらが今でも使われているのです。タイムカプセルで昔の時代に行ったような気分になり、 おどろくほど感動しました。 研修に行ったことによって、「しょうゆ」のことをいろいろ知ることができました。 また、友達とのチームワークもより一層深まり、今後の中学校生活も楽しくなりそうです。
中1・上花輪歴史館にて
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去る5月2日(金)、恒例の鎌倉研修が行われ、中学2年生272名が参加した。 ゴールデンウィーク期間中の金曜日ということもあり、かなりの混雑だったが、 好天に恵まれ、国語の宿題になっていた俳句をひねりながら歩く者あり、迷子の亀を 拾う者あり、各グループ楽しい1日を過ごした。
仄暗く神秘的な静けさを漂わせる、深い緑の中を歩いていた。いかにも文士が愛しそうな所だ。 実際、鎌倉には多くの文士が住んでいた。それは、黒潮の影響で1年中暖かいことや、明治時代に なって東京〜横浜間に鉄道が通り、寒空であった鎌倉に注目が集まるようになったことなどが理由 として考えられている。集まってきた文士はたいそう鎌倉に心を引き付けられたらしい。 突如、やわらかい光に包まれた洋館が現れた。それは、日本文化と西洋文化が入り混じり、実体 化したような、なんとも明治らしい建築物であった。 これが私達が目指していた鎌倉文学館である。川端康成や里見ク、芥川龍之介など、鎌倉に縁の 深い文士の著書・原稿・愛用品・在りし日のポートレートなどを展示している。 館内に入るとその清閑さに感奮した。これが文士の気というものなのか?さらに、ステンドグラ スの出窓や照明器具が手伝って、一層当時の雰囲気を醸し出している。そんな感じにゆったりと浸 りながら、丁度建物の中程に来たときだった。友達の意味不明な声に驚き、振り向くと、淡い色の 海が!大きな窓に上手い具合に青海が広がり、まるで絵葉書のようだった。 一通り見学が終わったので、そろそろと靴を履き、重い扉を開け、外に出た。 なんと晴れやかな自然の光。日は輝き、花は咲(わら)う。草々は足の裏に柔らかく、暖かい。 ああ、ほとばしる歓喜!私達は走り出す。 瀟洒な洋館の正面に立つ。緑の中に…。そして背面に立つ。輝く海の中に…。命わく満ち満ちた 世界の中に1人の自分がいる…。 文士達がここ鎌倉に集まったのは、気候だのなんだのという難しいことではないのではないか、 と強く思う。ただ単に、自然の瑞々しい美しさに焦れ、空の香りを頼りにやってきたのではないか。 どうして集まって来たのか、その真意は誰にも分からないが、自分が鎌倉に来てみてそんな風に感 じたのだ。 鳶は何時迄も鳴き続けるだろう。
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平成15年(2003) 7月 8日改訂