えんじゅ:192号
最近進路室で生徒と面談する
機会が多くなった。先日、高三
の男子生徒が相談に来た。第一
希望の大学が決まらないという
ことであったが、よくよく話を
聞いてみると、結局は親のこと
で悩んでいることがわかった。
親が受験する大学まで指示して
くるので何とかしてくれという
相談だったのである。早く家か
ら離れたいとも言っていた。彼
の悩みは切実だった。
これは少々度が過ぎているか
のような話ではあるが、同じよ
うな例は他にもある。真面目な
生徒ほど素直・従順である為、
心の中の反発やプレッシャーを
つい見過ごしてしまう。数年
前、私は高二の授業で和歌を詠
ませた。それを名前を伏せて全
員に配り、どの歌に一番共感を
覚えるか投票させたところ、次
の歌だった。
こんな家
居られるものかと寝た夜も
親のつくった飯を食ふ朝
成績のことで親とトラブルが
あった翌朝詠んだものだが、受
験期の生徒の気持ちを代弁する
ものとして軽視できない内容だ。
我々大人は前述してきたよう
に子供のことを思えば思うほど、
どうしても心配のあまり先走り、
口数が増えてしまう。中学・高
校といった多感な時期に、見守
る側としての親や教員が、最も
意識しなければならないのは「待
つ」という姿勢ではないか。
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