笹津駅北の謎の道

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3.謎の道の正体?

昼食をとりにいったん宿に戻った際、ネットで地図を見ていたらこんな場所を発見してしまった。

(グーグルマップより)↑カーソルオンしてください。
緩やかなカーブを描く道。そしてその先には日本カーボン」という工場がある。
確証は持てないが、何らかの専用鉄道があったとみていいだろう。

4.道の正体を求めて

というわけで、例の工場群の北の端まで来た。

↑カーソルオンしてください。
工場の間を縫うように進む道が線路跡と思われる。
ちなみに、左の方に水色のラインがあるが、正体はよくわからない。一瞬自転車レーンかと思ったが、道の片側にしかないからそれはないだろう。

↑カーソルオンしてください。
道に入ってみると、ところどころ舗装がつぎはぎなことに気づかされる。もしかするとこの舗装の境目こそが線路の起点なのかもしれない(つぎはぎな箇所がいくつもあるのは秘密…)。 しばらくは何の変哲もない道だったが、道が一本横切った先に…

路盤だああああ!!!!

先ほど踏切のところで見たような路盤。これはもう確定!ここには鉄道が敷かれていた!!
唯一違うのはこちらの路盤には何かの轍がしっかり刻まれていること。こういうときにあるあるなのは軽トラだが、工場関係…?

↑カーソルオンしてください。
JR線が近付いてきたので、線路は左カーブ。

素晴らしい。

それ以上の言葉が出てこないほど良い別れ具合。

そして、キノコが可愛い。


ちなみに、この路盤とJR線の間には境界柱が2本並行して立っていた。詳しくは確認しなかったが(おい)、奥がJR、手前が専用線のものだろう。このあたりからもこの路盤がJRとは違う何か別の路線であることがわかる。

っていうか橋梁があるみたいなんですけど……
期待以上のものが現れてるんですけど…

知らない廃線跡だからって舐めてちゃいけないな…。これぞ廃線、という光景しかない。

当の橋梁であるが、廃線探索歴が浅いためかこういう橋梁を見た記憶はない。もしかすると重量物を運搬する専用鉄道特有のものなのかもしれないが。

5.終わりは突然に

橋梁を渡ると久々の踏切が見えてきた。

いたって普通の小道だが、専用線が通っていたと思われる個所になにやら舗装の継ぎ目が見える。トンネルや橋梁といったわかりやすい遺構も好きだが、自分が廃線探索をしていて一番感動するのはこういうときだ。

↑カーソルオンしてください。

踏切の先には小規模ながらもう一つ水路が。

ここは隣のJR線と同じように両岸に枕木を敷いて直接乗り越していたようだ。

↑カーソルオンしてください。
が、水路を超えた先は激藪。ここまで私を甘やかし続けてきた廃線跡だったが、急に探索打ち切りを突き付けてきた。右奥の鉄塔からするに先ほどの祠までそんなに距離ないんだけどな…。

せめて全貌を知りたいと思った私は線路の反対側から線路跡を推測することにしてみた。

↑カーソルオンしてください。
その距離およそ100メートル。無念でしかない。

それにしても、他のところはきちんと廃線跡が残っていたのにどうしてこの間だけ激藪と化してしまったのか?普通だったらほかのところも藪になって然りである。 もしかすると踏切から右に行く道は本当に地蔵尊のためだけに残されているのかもしれない。

6.謎は謎のまま…

一通り探索を終え、もう一度この場所に戻ってきた。

線路際にぽつんと、忘れ去られたようにいる祠に、どこか愛着を持っている自分がいた。と、そのとき、

誰かに呼び止められた。

どうもこの道の右上は公園になっているらしく、そこで犬の散歩をしていたおばあちゃまに声をかけられたのだった(最初、彼女が連れている犬しか見えなくてマジで焦った)。
話を聞くと、この場所はその昔、敷島紡績という会社の女工さんが苦しい仕事に耐えかねて自殺を図っていたところとのこと。地蔵尊もそれで設けられたらしい(僕を呼び止めたのも、僕が自殺すると勘違いしたからかもしれない)。なるほど、それでこんなに奥まった地に線路の方を向いた祠があったのか。(敷島紡績はその後シキボウと名を変え、今でも日本カーボンの隣に工場が建っている。)
いちおう専用線のことも聞いてみたが、詳しくは知らないようだった。
地蔵尊のことはわかったが、肝心の専用線についてはよくわからない。後日ネットで調べてみたが、やはり日本カーボンという会社の専用線だった、という程度しかわからなかったことだけ述べておく。(JR線から離れた線路はすぐに工場に入っていたとのこと。やば…)

↑カーソルオンしてください。
言われてみれば推定線の両脇に舗装の継ぎ目があるよ…
意識していなければ見過ごしてしまうような廃線跡。だが、そこには色々な物語があった。

※廃線跡は現役の鉄道路線に近接していることが多々あります。探索される際は十分ご注意ください。

―おわり―

筆:あいの風宇奈月ライン (高2)