えんじゅ:153号

平成14年度
入学おめでとう!
中学校副校長・中1学年主任より

志を立てよう    中学副校長  和田

 中学1年生の一人ひとりに、 その入学を祝って、心からの拍 手をおくります。そして、君が、 あなたが、1つの志を立てるこ とを願って、フランスの、シャ ンポリオンが、エジプト学の基 礎を築いた話を紹介しておきま す。

 1799年8月のことです。 エジプト遠征軍を率いたナポレ オンはナイル河口のロゼッタに 達していました。部下の砲兵士 官プサールはここで1つの石碑 の断片を偶然に発掘しました。 これが後に「ロゼッタストーン」 と呼ばれるもので、その一番上 にヒエログリフ(象形文字)、 中間の部分に民衆文字、一番下 のところにギリシア文字、と3 種類の文字が刻まれていまし た。その解読は、シャンポリオ ン(1790−1832)によって、182 2年、学会で発表され、今日の エジプト学の基礎がつくられま した。シャンポリオンは10代 の頃、兄さんから、この石碑の こと、そして、まだ誰もその碑 文が読めないことを聞き、「僕 が読んでみせる。」と心に誓っ たと伝えられています。その志 を強く持てたからでしょうか、 少年の頃から語学の勉強に励 み、ギリシア語、ラテン語、ヘ ブライ語、そしてコプト語に通 じたことがヒエログリフの解読 の手がかりになったと言われて います。

 今、中学生となって、新しい 世界に生きようとする君、シャ ンポリオンのように、1つの志、 目標を立てて、コツコツと歩み 続ける生き方を、自分の生きる スタイルにして見てはいかがで しょうか。そのスタイルを続け る限り、かりに志す方向が変る ことがあっても、求めるものを 成すことができる人間になれる と思います。桜も、つつじもバ ラも時が来れば忘れずに自分の 花を咲かせます。自然が生きる スタイルを教えてくれています。 凛とした君の一歩に祝福あれ。

今日までそして明日から    中学第1学年主任  藤井

 「私は今日まで生きてみまし た…私には私の生き方がある。 それはおそらく自分というもの を知るところから始まるもので しょう…」という唄があった。 私がちょうど君たちと同じ中学 生の頃に流行った唄である。

 この4月、269名の生徒が 本校での中学校生活をスタート した。数え切れない偶然が重な り、出会った仲間である。これ から君たちが、どのような経験 をし、どのように成長していく か、楽しみでならない。

 始めの唄の歌詞ではないが、 中学・高校での生活は、まさに 「自分というものを知る」ため の生活と言ってよい。その作業 は、君ひとりでできるものでは ない。自分自身を映し出すため のいくつもの鏡が必要である。 その鏡となるもの、それが偶然 であった仲間であり、これから のいろいろな経験である。

 今日までそして明日からの自 分、けっして同じではない自分 を、共に鏡となり、互いに探し ていこう。


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平成14年(2002) 5月28日改訂