えんじゅ:153号
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例がないほど速く春が進んで いまや青葉の盛り、その薫風の中 で活動する諸君の姿もすがすが しく見える。入学そして進級、と もに新たな出発、おめでとう。 まずは数年前、朝日新聞夕刊 に連載された池谷史夫さんのコ ラム「一日一語」の一部を紹介 しよう。 −1905年5月27日午 前5時5分、連合艦隊旗艦「三 笠」は哨艦の発した敵出現の飛 報をつかんだ。幕僚が第一報を つくる。「敵艦見ユトノ警報二 接シ、連合艦隊ハ直チニ出動、 コレヲ撃滅セントス」。参謀長 に回ろうとするのを、先任参謀 秋山真之が、待てと言ってつけ 加えた。「本日天気晴朗ナレドモ 浪高シ」この文言は、人々の愛 誦するところとなった。(下略) −日本海海戦の発端を飾るこ のエピソードは有名で、「人々 の愛誦」は当時だけではなく半 世紀も続く。今も憶えている人 は少なくないはずである。 報告としては前文だけで要を えている。ただそれだけである。 これに後文が加わることによっ て、静画的な前文までが動きだ す。血が通うのである。 私たちはお互い元気づけるの が好きだ。頑張れと言い、頑張 りますと応ずる。しかしそれが 重荷になる時もある。「肩の力 をぬけ」とはそういう時である。 調子を崩した投手に、タイム をとって監督が伝えた一言「た かが野球じゃないか」もその例 である。 余裕とかゆとりという言葉は 流行するとともに誤用される傾 向にあるが、その効果としてあ げられる「リフレッシュ」から 遡ってとらえると理解しやすい。 天候と浪の後文を加えたこと で前文まで生きてきた。蛇足の 反対なのである。 新たな出発に当って、諸君そ れぞれの抱負が大きく達せられ るよう、選手の立場と監督の立 場をあわせて、血の通った有意 義な日々を重ねられますように。
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−20期生−私にとって この言葉は何か特別な響きを持 って伝わって来ます。開校した 時から勤めている身としては、 もう20年も経ったのか、とい う思いもありますが、それより も節目を強く感じ、新たなもの がここから始まる様な気が強く しています。 ところで、本校では入学式当 日、桜をバックに写真を撮るこ とが恒例になりつつあります。今 年は例年よりも開花が早く、校 門近くの染井吉野は全て葉桜に なってしまい、校舎前の八重桜 も入学式前に散ってしまうので はと、内心ハラハラしていまし た。その桜なんですが、花びら はもちろんのこと、幹も花の咲 く頃は少し桜色になるというこ とを知っていましたか。その時 期桜は全身で、力の限り「桜」 をアピールしているのですね。 植物に限らず、持てる力を全 て出し尽くそうとする姿に私達 は感動を覚えます。20期生の 皆さんも、いつも匂うが如く輝 いていて欲しいのです。
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平成14年(2002) 5月28日改訂