えんじゅ:153号

チャンスを経験に変える
第19代日本さくらの女王
第15期(平成11年度卒) 浅野さん

 今年の3月に 第19代日本さ くらの女王に選 ばれた本校の卒 業生、浅野 さん(15期、 東京大学教養学 部理科U類2年 に在学中)につ づっていただい た手記を掲載し ます。

 きっかけは新聞の公募記事だ った。

 「地球環境や国際交流に関心 があり、日本を象徴する『さく ら』の心を内外に広めるボラン ティア精神豊かな18−24 歳の日本人女性(未婚)を募 集。アメリカ、ドイツなどや、 都道府県等関係機関への表敬訪 問、各地で開催される『さくら 祭り』『さくら植樹式』等に出 席」。

 私は自分にしか生きられない 人生を送りたいと考えており、 経験を大切にしている。中高時 代も渋幕でのびのび過ごし、 色々興味を引かれてはチャレン ジしてきた。選ぶ側にとっても 選ばれる側にとっても、出てき た結果が一番良いのだと思って いるので、気楽である。「求めら れないところにいる必要はない。 求められるところに私はいた い」。そんな言葉を胸に、自分 を磨くチャンスを今回も欲した。

 日本さくらの女王は、財団法 人日本さくらの会(会長:衆議 院議長)によって2年に1度全 国から選出される。ミスコンと は一線を画し、書類選考後、ド レスでの前夜祭、平服での非公 開審査、振袖での公開審査を経 る。日本さくらの会は、急激な 開発や公害、管理の放任等によ り、全国的に衰退し悲惨な状況 にあったさくらの保存、育成、 普及などを目的に、昭和39 年(1964年)に設立された。 全国の自治体を事業の推進母体 として、個人会員と共にさくら の植樹や愛護、保存、さくらを 通した国際親善事業を展開して いる。

 この3月に第19代日本さく らの女王に選出されたときは、 日本の花「さくら」を象徴する 責任の重さと恍惚とした気持ち が交錯していた。突然女王と呼 ばれて公の身となり、360度 一挙手一投足を見られるように なる。見られるのは想像以上に 疲労する。歴代の女王を始め、 方々から厳しいチェックが飛ぶ。 めったにない機会で非常にあり がたく思う。常に笑みをたたえ るために、口角を上げる筋肉が どこであるか習得した。求めら れることを敏感にキャッチし、 喜んでいただけるようにするの は楽しい。TPOを踏まえた自然 体が人間的で良いのだと思う。

 さくらの季節に休みはなく、 女王は体力勝負である。しか し、やはり面白い。色々な所 で、様々な方と、色々なことを する。ものの見方が変わってく る。満開のさくらを見上げて、 こんなきれいな花の象徴が自分 であることがとてもうれしく思 えてきた。

 私の本業はもちろん学生であ る。将来の方向がまだ見えない 不安を感じつつ、経験を積み上 げ日々邁進している。自分の限 界を知ったとき大人になる、と いう人もいる。しかし、私は自 分の可能性を信じ、輝いていた いと今は思う。そんな私を応援 し、一緒に面白がってくれる家 族、友人を誇りに思い、とても 感謝している。


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平成14年(2002) 5月28日改訂