毎年、卯月のこの頃、私たちは多くの入学生をお迎えします。

集団の初志生成 -入学式-

入学式舞台では
微分が造る『生花』と
積分が造る『盆栽』が
生の二つの美を象徴している
照明が落ち、音楽が鳴ると
年一度、役割を担う入場口から
入学生が新世界を歩み始める
慣れぬ足取りで一人、ひとり
緊張した貌にライトが当たる
(光による新入生認証!)
― 中 略 ―
式辞、祝辞が潮の満ちるように
新入生の未来を拓く
(われわれは何所から来たか
われわれは何所へゆくのか?
ゴーギャンの思弁的すぎる絵画
の題名が頭をよぎる・・・)
列席者の思いが未来へ至る時
保護者と職員に希望の「共時性」
が生まれ、初志は胎動する
式は校歌へ進み
万葉からの伝統である七五調の歌詞が
外へ向かう律動で私を捨象する
生じた間隙に無私=『初志』は
象(かたち)を得る
神とか、愛に似た
「集団の初志」が生成される

田村太郎作(元本校数学教師)