模擬裁判は司法制度への理解を深める目的で、中学3年生が参加します。毎年、東京弁護士会の法教育センターに所属する数名の弁護士の先生方をお迎えしリハーサルと本番の二回にわたり直接ご指導をいただきます。配役は多数の希望者から選ばれた二十七名の生徒が担当し、その他の生徒は公民の授業内で読み込んだ資料をもとに傍聴席で審理を見学します。
平成30年の裁判シナリオは「建造物侵入・窃盗未遂事件」でした。電気店の倉庫で寝ていて警備員に取り押さえられた被告人。商品を盗むために倉庫に侵入したとして起訴した検察官側と、倉庫への侵入は認めるものの家出をして倉庫で雨と寒さをしのいでいたと主張する被告人・弁護人側。シナリオ通りでは双方とも立証が不十分なため、約二週間にわたり自主的な勉強会を開き準備を進めてきました。この裁判のハイライトは、証拠調べでの証人尋問と被告人質問です。検察官,弁護人とも自分たちで考えてきた質問を証人や被告人に投げかけます。誘導尋問や誤導尋問に対する異議も多く出され、予定していた時間を大幅に超える白熱した展開となりました。なお、判決は窃盗未遂が成立せず、建造物侵入が執行猶予付きの有罪でした。