「シニア町内会 癒やしのまくはり館」施設の紹介

平成16年4月、千葉市花見川区幕張町に「ユニットケアという少人数単位のきめの細かいサポート中で、人と社会との触れ合いを、かつての町内会的イメージに落とし込んで、自由で開放的なぬくもりと触れ合いあるコミュニティーを目指します。」というコンセプトで、この介護付き老人ホームが誕生しました。大変充実した設備と明るく素晴らしい環境ので、多くの方々が日々快適に過ごされています。

私たち合唱部は、全国高等学校文化大会に出場経験を持っています。部員は中高で20名程度ですが、みんな歌うことが大好きで楽しい学校生活を送っています。平成17年からこの「シニア町内会 癒やしのまくはり館」の慰問を続けてきました。入居者の方々は、毎年楽しみにして下さっています。

平成27年9月26日.老人ホームの皆さんとの交流会

40名以上の入居者の方々が1階のホールにお集まり下さり、「夏の思い出」、「花は咲く」、「夜空のムコウ」、「川の流れのように」他40分に及ぶ合唱に聴き入り拍手を送って下さいました。
更に「アンコール」と声がかかり、「ラビング ユー」を歌わせていただきました。その後、各階に分かれて、お茶やお菓子をいただきながら入居者の方々と懇談しました。様々な経験談やお孫さんのお話し、私たちへの励ましのお言葉などを伺い、楽しいひとときを過ごすことができました。

第1回慰問に参加した生徒の感想

私たち合唱部は初めて「シニア町内会癒やしのまくはり館」という老人介護施設を訪問しました。目的は入居者の方々に私達の合唱を聞いていただくことでした。この訪問は平成17年9月末に生徒部の佐々木先生に紹介され、訪問公演の企画を頂いたことに始まりました。今まで自分たちの活動が「ボランティア」に結びつくと思いもしていなかった私にとって、この企画を紹介していただいたことは鮮烈な刺激となりました。それは他の部員も同じだったようで、提案するやいなや訪問の日時を決めるなどの準備に取り掛かりました。11月の頭に決定したとき、一から全てを築いていくにはやや実質的な練習日数が足りないのではないかと一抹の不安も浮かびました。しかし、部員全体が企画に向け、高いモチベーションで練習に臨んでくれたおかげで、その不安はすぐ解消されました。

そして、発表の日。文化祭以降に入部した新入部員にとっては最初のステージとなり、その表情には多少緊張の色が伺えました。控え室では明るく振舞っており、「楽しそうで何よりだ」と言う印象も受けましたが、実際に入居者の皆さんの前に立つとその緊張は隠し切れないようでした。それなりに場数を踏んだ部員でも演奏前、特にステージに立ってから実際の演奏に移るまでの時間が緊張し、長く感じられることはしばしばあり、そう言った意味ではある種、当然のことだと言えるでしょう。

しかし、その緊張も演奏に入る前にはだいぶ和らぎ、中にはある種の安堵感を感じていた部員までいたように思えました。プログラムの配布を手伝ってくださるスタッフの方々、楽譜を手渡した際の入居者の方々の笑顔、そして、挨拶の際に巻き起こった大きな拍手、それらが緊張で硬化していく心身をほぐしてくれたのです。

企画は大成功でした。「赤とんぼ」や「花」など、入居者の方々もご存知の曲を中心に演目を組み、あらかじめ楽譜を渡していたので、一緒に歌って下さる方も多くいらっしゃいました。演奏中は常に笑顔で溢れ、歌っている私たちにも、自然と笑顔が浮かんできました。最後の曲が歌い終わる頃には涙を流されている方もおられ、完成度の高い合唱ができたか云々以前に、何かで充たされたような気分になりました。

その後、ささやかながら茶話会が開かれ、僅かな時間ではありましたが、入居者の方々と交流を持つことができました。どうやらお孫さんが私たちと同じくらいの年齢の方が多いようで、とても喜んで下さっていました。話の節々で「次はこんな曲を歌ってね」や「また来て下さい」などと、嬉しい言葉をかけていただき、最後には見送りまでしていただきました。

今回の訪問で、私たちにとって最も大きな収穫は、自分たちの活動そのものがボランティアになるということ、そして、仮に完璧なものを提供できなくとも、積極的に行動することが大事だと気付けたことだったと思います。どんな些細なことでも、例え自分たちの全力を出し尽くせなくても、相手にその心意気が伝わり、喜んでいただければ、それはもう「ボランティア」なのではないでしょうか?もし「ボランティア」をしたいと言う気持ちを持ちながら、何をすべきか分からないと言うジレンマに陥っているのであれば、まずは身近で一般的なところから始めてみて下さい。些細なように見える活動の中に、ジレンマの答えが待っているはずです。