今、なぜ「ボランティア・体験活動」か

21世紀という時代
 青少年が21世紀からの留学生といわれて久しい。21世紀という時代が人々に何を求めるのだろうか。18、19、20世紀と科学技術が発達することで人間は幸福な生活をおくることが出来ると考えてきた。しかし、その結果は地球環境の破壊と、人と人の間の不信感の増大、それをもたらす富の偏在(南北問題)が、重い課題となって残ってしまった。これからの21世紀は、この問題を念頭において、その解決の為に活動しなければならない。

まず、身の回りから始めよう
 人は、まず、人と人の間の信頼感をとりもどす必要がある。その為には、君の身の回りの事から行動しよう。家の手伝い(掃除・台所の仕事など)や、近所の手伝い(掃除など)を通じて、人々の笑顔に触れた時、君たちはどんな気持ちになるだろうか。共に喜び、共に生きることのすばらしさ、その感動に気づいた時から、ボランティア活動は始まる。

ボランティア活動は何のために~毎日の生活を、勉強中心にしている君たちへ~
 君たちは、何のために勉強しているのだろう。自分だけのためなら、勉強がつらくなったらすぐにでもやめられるだろう。しかし、勉強の目的は、実は「人の役に立つ自分のため」つまり「他の人から見て、いなくてはならない人となるため」だと思う。何ごとも、目的がはっきりしてはじめて力が入るというものである。
 その目的を実感するためには、”ボランティア活動・体験活動”は大いに役に立つのである。何といっても「人の役に立つ事」を目標にして、自分を知り、何のために、どのように行動するかを決めて、「活動」する(自調自考)時がきたのだ。
このように考えると、どうやら、”ボランティア活動”は他の人のためといいながらも、一生を通じての、”自分の役に立つため”でもあるのだという事がいえる。

ボランティア活動はどのようになされているか
*まず、君たちと同年齢の日本人中高生の実践例を紹介してみよう。
1)兵庫県トライやる・ウィーク事業
中学2年生全員の参加で1週間(6月または11月を中心に)、次のような活動をする。
・勤労生産活動:農作業、搾乳作業、炭焼き、下草刈りなど
・職業体験活動:パンの製造・販売、保母の補助、公共施設での受付など
・文化・芸術創作活動:陶芸教室、木工細工、絵画教室などへの参加
・ボランティア・福祉体験活動:公共施設の清掃、介護福祉の補助など
・地域・郷土芸能活動:地域の踊りや太鼓の練習、地域文化財の見学など
2)高校生保育介護体験事業
・幼稚園、保育所、福祉施設においての清掃・洗濯・教材の制作、行事の準備・後片付け、遠足の引率補助など
3)国立公園における「こどもパークレンジャー」活動
・自然保護の体験を通じて、動植物の調査・保護活動・ふれあい活動・公園利用者への指導など
4)「こども長期自然体験村」活動
・全国で開設された「体験村」での生活
5)「こどもインターンシップ体験」事業
・全国で協力してくれる商店街などでの商業活動の体験機会

*次はアジアの例として、シンガポールでは
1)小中高校生は、定期的に地域の清掃や、海岸の清掃地域を割り当ててボランティア活動として清掃を実施しえいる(Public Service・National Service)。なお、姉妹校の早稲田渋谷シンガポール校では、他に年2回日本人墓地の清掃をしている。
2)シンガポールのUWC(13~18歳)では、その学校のカリキュラムはIB(インターナショナルバカロレア)によっているが、それによると、授業の中にSocial Serviceという時間があって、そこでは孤児院や、老人ホームへの参加、小学生に英語を教えるなどの活動例がある。 また、週1回の部活動(Cas)でのボランティア活動、1週間以上のProject Week活動(1週間以上かけて、Hotelには泊まらずに他の地域でのボランティア活動をする)がある。

そこで
このようにボランティア活動や体験活動は、これからの青少年にとって大切な事として考えられ、わが国でもすでに以上のようないろいろな形で実施されている。ちなみに、米国における18才以上の青年の60%以上は、ボランティア活動の経験があるという。21世紀における国際化、グローバル化が急速に進む中、世界に遅れることなく、積極的に活動に参加することが必要である。また、本校の教育目標である「自調自考」の理念を具体化し、これまでに培った意思を行動に移す活動こそ、自分を高め、社会に貢献し、地球環境を守ることにつながるのではないだろうか。長期休暇の他に、土日などを利用して、少なくとも1学期に1回ぐらいの活動を継続していって欲しい。