未来の自分を想像してみよう!~キャリアガイダンス2023

11月18日(土)、高校2年生全員を対象とした恒例のキャリアガイダンス2023を開催しました。キャリアガイダンスは本校の卒業生が、これからの進路選択や受験に向けて高校2年生の生徒全員に自身の体験をもとに話すもので、本年度も大学生・大学院生・社会人と年代の異なる4名の卒業生が、多忙のなか来校してくださいました。

◎ 「志を持って、進路を決めてほしい」 大石礼音さん(38期生)
 4月に本校を卒業し、東京大学文科三類の1年に在学中です。自己紹介では高校時代の部活動に触れ、高校時代に純粋に好きなことに一生懸命取り組む経験ができて幸せだったと振り返っていました。

 自身の大学選択については、2019年の上野千鶴子先生のスピーチを紹介し、これを聞いて、これまで自分の事をだけを考えていたが学びを深めて可能性を広げることで社会や他者に貢献したい気持ちが生まれて、東京大学を目指すことに決めたそうで、生徒には「志を持って、進路を決めてほしい」と話されました。
 大学の学びは、どの授業も面白いそうで、毎授業質問するふりをして、先生方の話を聞くことが多いとのことです。生徒には「本に書いてあることは違う身からの言葉なので、そのまま盲信することはおすすめできない」とし、自分で考え行動して自分の身になる知識や経験を得てほしいと話されました。
 一番伝えたいこととしては「自分の本質や大切にしたいものを見失わずに、自分に問い続けること。」を挙げられました。悩んだ時には、自分がいいと思うことを優先して選んでいけば、後悔や失敗にはならないので、進路選択について、受験や大学がすべてではなくて、考えて感じている自分にとっての幸せや大切に思うものを優先に考えてほしいとのことでした。そして、無条件で親近感・信頼を抱ける存在は特別でありがたい存在なので、家族や学校の友人など、様々な縁を大切にし、周囲への感謝を忘れずに生きてほしい、と話されました。

◎ 「自分のやりたいことに合った進路を決めてほしい」 瀧野瀬未祐さん(34期生)
 4月に東京大学を卒業され、現在、東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻 修士1年に在学中です。自己紹介では、ご自身が専攻する日本史学について、わかりやすく説明されていました。そして、昔から日本史がずっと好きで、日本史に関わる仕事をしたいと思っていたそうで、自調自考論文がきっかけで日本史の研究者を目指し、東京大学へ進学したそうです。

 研究は全く新しいことを発明・発見することよりも、先人たちの発見に少しずつ新しいことを加えていくことが多いそうで、研究者を目指すのに必要なこととして、先人たちの足跡を追い続ける「継続力」を挙げたほか、研究一辺倒で一般的な社会性を失わない生活のバランス感覚や、周囲からの声に耳を傾ける「コミュニケーション力」なども必要だと話されました。
 進路選択に関しては、「自分はこのさきどんな人生を送りたいか、自分の人生の中での大学の位置づけを考えてほしい。」と述べられました。そして、大学でけっこう転学科する人もいるそうで、はじめから好きなことを選ぶべきだと話されました。
 また、東京大学が1番ではない分野、東京大学では研究できない分野もあるので、学力だけで大学を選ばないほうがいい、大学は勉強ができれば偉いわけではなく評価は多元的なので、大学ごとの環境の違いをよく調べて、自分のやりたいことに合った進路を決めてほしい、と話されました。

◎ 「少しずつ得意なものを積み上げよう!」笹原怜奈さん(27期生)
 早稲田大学を卒業され、NHKの報道カメラマンとして活躍されています。自己紹介では、渋幕時代に部活動や委員会など活発に活動した中でも特に高校時代に取り組んだ模擬国連に触れられ、模擬国連の活動が自分に自信を与え「世の中をよくしたい」「人の助けになることがしたい」という自分の将来像が作られていった、と話されていました。
 大学在学中に興味関心が朝鮮半島に向き、大学4年生のときに韓国へ留学した時に、個人的に「日本の統治時代から残る日本の姿」というテーマで行動していたことがきっかけで、「言葉だけでなく映像や写真でそこにある物事を伝えたい」という思いが生まれ、報道カメラマンを目指した、ということです。

 NHKの報道カメラマンは、撮影だけでなく自分で提案して記事を作ることもできるそうです。これまでご自身が関わった記事をもとに、国内にとどまらず海外まで広がる取材の舞台を紹介してくれました。
 渋幕時代から感性を磨き、積極的な行動を積み重ねた事が現在の報道という仕事につながり、それは高校時代に抱いた「世の中をよくしたい」「人の助けになることがしたい」という思いが結実している、ということでした。そして、今後の進路選択について、自分が得意なものを少しずつ探していって、どんなに小さなものでも積み重ねていけば、理想とする仕事に出会えると話されていました。

◎ 「悩むということをやめないでほしい」 吉田慎之介さん(21期生)
 東京大学大学院を修了され、防衛省(防衛装備庁)に勤務されています。
 自己紹介では、中学生の頃から飛行機が好きで理系を選択し、大学でもエンジンの研究をしていたそうですが、ものつくりではなく、知識や経験を活かせる仕事として防衛省を選んだそうです。現在は防衛装備品の海外移転を担当されているそうで、ご自身が携わった仕事を例に、その概要をわかりやすく紹介してくださいました。

生徒へのお話は「高校生のときの経験が、社会に出てからどのようにつながるのか」をテーマに大きく3つ話されました。
 1つは「中高生で身に着ける習慣や考え方は一生ものである。」ということで、将来社会に出て答えのない世界で自分の頭を使ってちゃんと考えて動くためには、今の時期から日々習慣的に自分の頭で考える癖をつけていられるかが大事である、とのことでした。
 次に「今、勉強して知識を得る大切さ」について、勉強は学生時代の座学だけではなく、自分が知らなかったことを吸収することは何歳になってもこれからずっと続けていくことなのだ、と話されました。先程の仕事を例に、外国との仕事の中で歴史や文化・政治など装備品に関する知識以外に次々に関連して学ぶことが出てきたことに触れ、今学んでいる知識を科目・教科の枠に閉じ込めずに、将来なにか別なものとつながる門戸を広げてほしい、と話されました。
 最後に、進路選択について「悩むということをやめないでほしい」と述べました。
悩んだうえで自信をもって決断することが、その後進んだ先で悩んだときに立ち返って自分を支えることになるので、家族や友人など周囲を巻き込んで納得するまで悩みぬいてほしい、と話されました。

◎ 4名の卒業生のもとには、ガイダンスの終了後も多くの生徒が質問の列が続き、遅い時間まで個別相談に応じてくださいました。
 
 

先輩方からの思いのこもったメッセージは、高2生の心に届き、今後の進路選択の参考になったことと思います。改めて、後輩たちのために来てくださった卒業生の皆さまに心より御礼申し上げると共に、これからのご活躍を祈念いたします。

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