キャリアガイダンス2022

11月19日(土)、高校2年生全員を対象とした、恒例のキャリアガイダンス2022を開催しました。本年度も大学生・大学院生・社会人と年代の異なる4名の卒業生より、高校2年生の生徒全員を対象にそれぞれの立場や経験に基づいたお話をいただきました。開始にあたり、田村校長の挨拶と、井上進路部長から今回のガイダンスの目的と、今回の講演者を選定したコンセプトについて説明が行われました。以下、セミナーの内容を紹介します。

◆ 八木橋和哉さん(35期生・慶應義塾大学経済学部3年)
私は35期生として本校を卒業して2020年4月に慶應義塾大学経済学部に入学しました。アコースティックギターのサークルに所属して、ゼミでは南アジア経済史を学んでいます。大学生活ですが、1年次は入学式や学園祭なども中止され、この2年間はコロナ禍の影響では大学に行くことは少なく、ほとんど自宅でWebでの授業を受ける毎日でした。3年生になった今年は、対面授業や海外留学なども再開され大学は少しずつ活気を取り戻しています。この2年間停滞していた人間関係も、修復されて来たりもしています。
それでは慶応義塾大学のキャンパスの紹介や学生生活、授業の特色などについて説明をします。大学生活はただ学ぶだけではなくサークル活動やアルバイト、資格の取得、就活、起業などいろいろな事を自分の意思で行うことができます。今は三田祭(学園祭)でのイベントなどに取り組んでいます。ここで今回のセミナーにあたり、35期の同期生からメッセージをもらいましたので紹介いたします。・・・・同期生たちもコロナ禍の中で頑張って学生生活をおくっています。最後に、受験にはどうしてもプレッシャーやストレスがかかります。どうか出来るだけリラックスをして受験に取り組むようにして下さい。

◆ 田畑千尋さん(早稲田大学基幹理工学研究科材料学科専攻の博士、国立研究開発法人物質・材料研究
機構ジュニア研究員)
私は31期生(gグループ帰国生)として本校に高校1年時に編入学しました。6歳から本校入学まではアメリカのサンフランシスコの現地校で学びました。渋幕に入学した当初は、授業の理解に苦労しましたが、基礎からやり直して、何とか早稲田大学に現役で入学しました。「良い」大学に行くことは最終目的ではなく、まずは興味のあることを探して見ることが大事だと思います。大学は早稲田大学の基幹理工学部学系Ⅲという情報系の学科に入学しましたが、自分のやりたいことではないと思い、機械科学・航空宇宙学科に学科を変更しました。そして授業とアルバイトだけの生活から、自分のやりたいことを見つけるために、女性リーダー養成のプログラムへの参加やボランティア活動、イベントでの通訳などいろいろなことに積極的に取り組みました。現在は大学院の博士課程と国立研究開発法人・物質材料研究機構に所属していて、Ni基超合金という飛行機のジェットエンジンやガスタービンの材料の研究をしています。この分野は、実は日本が世界的にも研究が進んでいます。博士課程に進んだのは研究者への憧れと、英語が得意なので海外で活躍したいという気持ちからでした。今年は機会を得てドイツに行き、国際学会にて研究成果の発表を行いました。博士号があると海外の対応が違いますし自分への自信にもなります。興味のあることを探して、失敗を恐れずに挑戦してみてください。

◆ 草田里美さん(弁護士・アンダーソン毛利友常法律事務所)
私は30期生として本校に入学して2015年3月に卒業しました。中高時代は中学ではテニス部、高校ではワンダーフォーゲル部に所属しました。東京大学文科Ⅲ類に入学し、教育学部に進学しました。大学卒業後は子供の権利や教育に関する仕事をしたいと思って国家公務員を考えて、厚生労働省のインターンシップに参加しました。ところが職員の方から「君のやりたいことはここではできない。弁護士を目指した方がよい」とアドバイスをされました。そこで大学3年から司法試験に取り組みました。2019年3月に大学を卒業し、そのまま就職はせず11月の予備試験を目指して勉強を続けて無事合格、翌年、司法試験に合格しました。弁護士の仕事は「依頼者の抱えているトラブルを未然に解決すること」です。業務内容は企業法務、一般民事、刑事弁護に分けられ、私は主に企業法務を担当しています。私の一日のタイムテーブルを参考に紹介します。
最後に皆さんに大学生活と大学受験に対するアドバイスを4つお伝えします。
Ⅰ.人との出会い、経験を大切に Ⅱ.行きたい大学があれば高い壁でも目指そう Ⅲ.自分の勉強法を早い段階で確立しよう Ⅳ.学校生活を全力で楽しもう私は高校2年生の時はまさか自分が弁護士になるとは思っていませんでした。勉強法の確立では、優秀な人の勉強法を学びました。高校生活は二度とこない青春の日々です。
私からのお話は以上です。

◆ 竹田薫識さん(AGC株式会社 先端基盤研究所研究員)
私は27期生として2012年3月に本校を卒業しました。東京大学の理科Ⅰ類に入学、大学および大学院で応用化学を専攻してAGC(株)に入社、現在は横浜の先端基盤研究所に勤務しています。AGCという会社は、もともとは旭硝子というガラス製品の会社でしたが、現在は工業用セラミックスやスカイツリーに使われた防錆のための含フッ素塗料やフッ素樹脂、医薬品など多様な製品を販売しています。私はLC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析装置)を使って、主に医薬品の分析を行っています。ところで皆さんは、東大生はどんな人が多いと思いますか?・・・確かに変な人もいますが大半は普通で真面目な人です。私も普通の人なので、気軽に聞いてください。ここからは私の受験生活についてお話しします。私の渋幕での生活の中で大きな出来事が2つありました。1つは失恋、もう1つは入院です。高校ではバレー部のキャプテンになりました。ところが、高2の9月から体調不良のため3ヶ月の入院を余儀なくされました。病気が治って、学校に戻りましたら、周りの友達は進路が決まっており、私は「進路迷子」状態でどうしていいかわからずに、担任の先生に相談したら「東大に行け!」と言われました。でもそれで東大を目指す決心ができました。入院は本当に辛かったのですが、両親や見舞いに来てくれた友達の為にも頑張ろうと思いました。バレー部も最後までやり抜き、日々教室で同級生と一緒に勉強を頑張り、渋幕の先生にもお世話になりながら、無事現役で合格することができました。最後に皆さんに3つのアドバイスをします。
Ⅰ.人生の可能性は無限大。なんとかなる。Ⅱ.常に何かを考えるように。何でも調べて欲しい。Ⅲ.家族、友達は一生大事に。
Ⅰ.私は長期の入院をしても何とかなりました。そして夢を追うことは、人生においてとても大事です。どの科目もいつか何かの役に立つので、科目を捨てずに勉強を続けてください。そして、渋幕の卒業生には多様な人がいるので、自分の夢を諦めずに努力を続けてください。
Ⅱ.自分が調べて納得したことは絶対に忘れません。気になったことはスマホでいつでも調べてください。
Ⅲ.自分を常に支えてくれるのは家族です。友達は人生を豊かにしてくれます。常に周りに感謝をして生活してください。
最後に私が試験前に脳内リピートしていた「栄光の架橋」の歌詞をお見せします。残りの学校生活、全力で楽しんでください。

◆ 個別相談への対応
ガイダンスの終了後も希望生徒の個別相談に丁寧に対応していただきました。少し先の未来について考える貴重な機会を提供頂いた4名の卒業生の皆さんに心より感謝申し上げます。これからの皆さんの益々のご活躍を祈念いたします。