電気自動車セミナー~電気自動車と自動運転の今と未来をお話します

令和3年6月17日(木)、慶應義塾大学名誉教授である清水浩先生をお招きし、本年度2目のGLFCプログラム「電気自動車と自動運転の今と未来」が実施されました。中3~高3までの将来のエンジニアを目指す生徒32名が参加し熱心に耳を傾けました。セミナーには、清水先生が開発を進めている電気自動車「プラチナカー」の実物が、神奈川県の研究施設から本校まで運び込まれ、参加生徒たちは目を輝かせて、「プラチナカー」を注目していました。
セミナーでは大きく以下の3つの内容について講義が行われました。以下内容の抜粋です。

1. 地球温暖化問題やエネルギー問題について
これまでの自動車(主にガソリン車)は多くのCO2を排出し、このCO2排出量の増加が地球温暖化の原因の一つとなっている。その主な要因が,19世紀に発明された技術を現在も使い続けていることであること。現在はガソリンエネルギーを、太陽電池(太陽エネルギー)やそれ以外のエネルギーに移行する技術が進んでいて、今後エネルギー問題は解決していくと考えられている。

2. 電気自動車開発の現状について
電気自動車の基本構造や従来の内燃機関自動車との比較など、以下の内容について解説をいただきました。
・ 電気自動車とは電池に蓄えたエネルギーをモーターに伝え,車輪を回転させて走行する車である。
・ 電池の性能が十分でない場合、ハイブリッド車はエンジンの力も借りて走行し,燃料電池車は水素で作った電気も使っている。
・ 1980年代に発明された電池、モーター用磁石、大出力トランジスタにより,実用的電気自動車が実現できるようになった。
・ 電気自動車の最も大きな特徴が内燃機関自動車に比べて、効率が高く,高い性能が出せ,構造が単純であること。

3. 清水先生が開発を進めてきた「プラチナカー」とは
ここでは、プラチナカーの開発に至る経緯やコンセプトについて、3つの要素を挙げられました。
Ⅰ. 全国に2300万人いる交通弱者が安全、安心,快適に移動できること 
Ⅱ. 電動車いすの規格の中で実現すること
Ⅲ. 自動運転の装備で誰でも利用可能であること
このプラチナカーが普及されれば,交通弱者が健常者と変わらない移動ができることで生活水準が上がるだけでなく、健常者にとっても便利な乗り物になる。また、自動運転により物流コストも劇的に少なくすることができる可能性がある。

◆ 電気自動車の試乗
セミナー終了後には、清水先生が開発を進めている「プラチナカー」の試作品に試乗させていただきました。生徒は実際に、最新型の電気自動車の操作を経験することができました。夢中になってプラチナカーを操作する生徒の目がとても輝いていたのがとても印象的でした。

清水先生は今後、未来に向けた電気自動車の新たな研究と研究者の養成を目指して、来年四月に山形県に開学予定の「電動モビリティシステム専門職大学」の学長に就任される予定です。
本日の先生の熱心なご講演への感謝と、今後のますますのご活躍を祈念させていただきます。本当にありがとうございました。