メディカルセミナー2021を開催しました。

 2021年11月30日(火)、本校進路部のGLFCセミナーの一環として「理系であり、文系でもある医学部の魅力とは?-beyondコロナの時代へ向けて-」と題して、千葉大学医学部附属病院長・横手幸太郎先生による講演が実施されました。
講演は「医学部がどんなところか?どのようなことをしているのか?」を伝えたいということで、以下の内容をお話されました。

① 千葉大医学部の紹介
 1874年に共立病院として設立以来の沿革、今年の4月から使用を始めた医学部の新棟、ドラマの撮影にもよく使われるという病院棟など、新しく豊富な施設の紹介に続き、「人間の尊厳と先進医療の調和」「臨床医学の発展と次世代の医療人の育成」という千葉大病院の理念や基本方針を話されました。

② 医学部では何が学べるのか?
 千葉大医学部のカリキュラムツリーを示し、『人間の尊厳と先進医療の調和』『臨床医学の発展と次世代の医療人の育成』という理念に基づき、1~2年次の薬学部や看護学部の学生とのグループ学習や、6年次に海外の病院での実習など、将来の現場を見据えた実践的な教育を行っているとのことでした。

③ 医学部卒業生のキャリアプラン
 臨床医の他、大学や企業の基礎研究者、厚生労働省の技官や保健所などの公務員、さらには医学部出身のVR技術者や医者から作家へ転身した例などを挙げ、多様な選択肢があることを述べられていました。
 また、先生自身のこれまでの経験を、当初は文系志望だったが高校在学中に医学部志望に変わったことや、スウェーデンへの留学、印象に残った診察の実例、現在研究している早老症の「ウェルナー症候群」について、など多岐にわたって語られました。「医学部は理系と思われがちだが、数学的・物理的能力は有用であるものの、医者を志す強い思いがあれば誰でも医者になる資格があり、“思いやり”“コミュニケーション”“忍耐力”の方がより大切である”」ということを強く述べられていたのが印象に残りました。

④  コロナとの闘いから“その後”
コロナの発生から現在まで、病院がどのように問題に遭遇し、対処してきたかを、病院長の立場から説明されていました。特に第1・2波の頃の課題が、その後の対応に大きな影響を与えたそうです。そして、患者さんやご家族だけでなく地域やメディアなど、多くのステークホルダーとの連携が、信頼され持続可能な医療の実現に必要であることを述べられていました。

 時に生徒に問いかけ、対話しながら、60分という講演時間があっという間に過ぎていきました。質疑応答では、医療倫理、学際的研究、女性医師のキャリアなど生徒からの鋭い質問にも、1つ1つ丁寧に回答してくださいました。
 このセミナーには100名以上の生徒が参加し、医学への生徒の関心の高さがうかがえました。医療現場の先頭に立つ先生のお話は、参加した生徒が進路を考える上で実りあるものとなりました。
 ご多忙の中、本校生徒のために、素晴らしいセミナーを実施いただいた横手先生に感謝を申し上げます。