11月15日(金) 東京大学模擬講義

東京大学大学院・新領域創生科学研究科先端生命科学専攻の山本一夫教授をお招きして本年度の東京大学模擬講義を開催しました。東京大学模擬講義は進路部のGLFCプログラムのセミナーのひとつで、本年も50名近い生徒が集まりました。山本教授は生命科学の分野で主に糖鎖の研究を続けられており、今日は「インフルエンザと糖」と題してインフルエンザを例にとり糖鎖の役割や機能をご講義をいただきました。
 講義では、生命科学分野において大学でどのような研究が行われているか、また生命がいかに巧妙なメカニズムで維持されているか、を優しい語り口でお話いただきました。

インフルエンザウイルスはもともと野生水鳥に宿主するウイルスで本来は人間には感染しない。しかし、人間社会と長く交わってきたニワトリが水鳥の糖鎖のほかにヒトと似通った糖鎖をもつようになることで、(野生水鳥とヒトとの間の)中間宿主となってインフルエンザがヒトに感染するようになった。これが、鳥インフルエンザが発見されると一大事と大量殺傷処分される理由。現在、中間宿主であると確認できるのはニワトリと豚だけであるが、同じく人間社会で飼いならされている犬、猫などのペットもヒトと似通った糖鎖を持ち中間宿主となっていく可能性を指摘する研究者もいる。

 講義終了後は質問する生徒が列をなしました。ここで生命の神秘に興味を持った生徒の中から、将来新たな謎を解き明かそうとする研究者が生まれていくのでしょうか。

(後記)
 その夜、NHKの番組「チコちゃんに叱られる」で同じテーマを「なぜインフルエンザは冬にはやる?」と題し取り上げられていました。女優の木村多江さんがインフルエンザウイルス役を熱演されていました。何たる偶然!! NHKを先取りする(数時間ですが)なんて、渋幕生はボーっと生きておりませんぞ。