キャリアガイダンス2021

11月20日、高校2年生を対象とした「キャリアガイダンス2021」が実施されました。これは卒業生を招き、高校卒業後のキャリア形成について講演してもらうもので、今年も4名の卒業生がお忙しい中、後輩の為に駆けつけてくれました。

始めに登壇したのは36期生の島田栞子さん。現在東京大学の1年です。中学入学から大学受験に至るまでの環境の変化や、気持ちの移り変わりなど実体験をもとに具体例を示し話してくれました。特に、推薦入試にチャレンジし不合格となった経験、その挫折から東大現役合格へのメンタルの変化は、話を聞いている生徒たちも感情移入してしまうくらいリアリティがあり、気持ちの変化が伝わってきました。「努力は無駄にならない」、「自分の適性を理解し、尊重する」、「机上の勉強だけでなく世界の現状を知る」など、いろいろな経験をしてきたからこその説得力のあるメッセージを送ってくれました。生徒たちがこれから待ち受ける受験生活を具体的にイメージできるようなお話でした。

続いては、31期生の栗芝裕亨さん。東京工業大学三類に合格、学部時代を経て現在、同大学院で高分子化学を専攻されています。前半では自身が研究をしている「高分子」という学問について具体例を示しながら、研究の概要をお話してくれました。研究の先には、海洋プラスチックなどの環境問題や、人工心臓などの医療問題の解決にもつながり、多方面での研究成果が期待されているということには生徒たちは目を輝かせていました。後半では、大学院生活や、研究内容の選定など1週間のスケジュールなどを示し、また、博士課程への進学を考えた経緯なども自身の経験談をもとに話してくれました。大学生や大学院生の具体的な学生生活をイメージすることができました。まとめとして、高校時代、明確な「夢」といものを持っていなかったが、興味の持てる分野の大学に進学し、その中で、マイルール(指針)も設け、選択を繰り返したというお話には多くの生徒がキャリアプランを考えるヒントになったと思います。

3人目は27期生の宇都侑莉子さん。東京大学農学部を卒業後、大手食品メーカーに就職し,現在入社4年目。お話しは「高校時代」,「大学時代」,「大学院時代」,「社会人になって」の4部構成で,人生の分岐点において,どのように進路決定をしてきたかを話していただきました。高校時代はやりたいことが見つからず,当時の担任から“努力できることも才能“という言葉をきっかけに東大を目指したこと,大学の学部選択では”大学の教科書はなんでこんなにわかりにくいのか“と考え一般の人にもわかりやすく生物学の楽しさを伝えたいと,生活の中での生物学を扱う農学部に進学を決めたこと,大学での研究テーマである食品に関わる仕事をしたくて現在の就職先を決めたことなど進路選択に影響した事柄をわかりやすく話してくれました。特に”進路を決めることは,選択肢を狭めることではない“というフレーズは文理選択や科目選択で悩む生徒たちには心強い言葉でした。

最後は22期生の安田怜央さん。東京大学経済学部を卒業後、財務省に入省。財務省主計局、厚生労働省老健局への出向などを経て、米・シカゴ大学公共政策大学院に留学。卒業後は財務省に戻り、関税局関税課課長補佐、佐世保税務署長を経て、現在は大臣官房総合政策課課長補佐を務めています。国の行政機構に加え、現在勤めている財務省の役割や主計・主税・国際局といった機構別の業務内容を、具体的にわかりやすく説明していただきました。国の中枢として働くことのやりがいや、責任の重さ、国民の様々な要望に応える難しさを話してくださいました。最後に、在校生へ「常に謙虚で」「多様性を大切に」「無駄なことは一つもない」の3つのメッセージをお話しいただき、生徒たちはおよそ15年後の自分を想像しながら聞くことができました。

大学受験を徐々に意識し始め、目の前の勉強のことで頭がいっぱいになってしまいがちな高校2年生のこの時期に、視野を広げて少し先の未来について考える貴重な機会となりました。4名の卒業生の皆さんに感謝致します。