“begin, continue” 千葉大学医学部セミナーを実施しました。

 第二学期が目前に迫った8月26日(金)、千葉大学医学部にご尽力を賜り、本校のGLFCプログラムとして初めてとなる「千葉大学見学セミナー」を開催しました。このプログラムも7月の募集開始をしてあっという間に想定の人数を超えてしまい、千葉大学医学部に格別の配慮をいただき、参加希望者全員の受け入れを実現していただきました。当日は13:10に亥鼻キャンパスの正門に生徒、教員72名が集合しました。そして、昨年完成した千葉大学医学系総合研究棟の第2会議室に移動してセミナーが開始されました。
最初に本セミナーの開催にご尽力いただいた、横手幸太郎千葉大学副学長・医学部附属病院長(昨年度本校で講演をいただきました)より歓迎のご挨拶をいただきました。

 続いて伊藤彰一教授(医学部副学部長)より千葉大学医学部の歴史と学部の近年の取り組みやポリシーについて講義をいただきました。以下要約します。

 千葉大学医学部は1874年(明治7年)に前身の「共立病院」が有志拠金により設立され、その後、「第一高等中学校医学部」(明治20年)、千葉医科大学(大正12年)をへて1949年(昭和24)に「千葉大学・医学部」となりました。創立から148年の歴史があります。創立以来、多くの研究実績を重ね、よりよい医療の提供を目指し、優れた医療人を輩出してきました。とくに千葉大学医学部は「免疫の研究」が盛んで、免疫学を中心とした「治療学」の研究を行ってきました。現在は学内に世界を先導する創造的な「治療学」の研究者や医療従事者を育成する「千葉大学未来医療教育研究機構」が設立されています。また「Chiba University-UCSD Immunology Initiative」と呼ばれる医学研究と人材養成の国際共同連携をカリフォルニア大学サンディエゴ校と結んでいます。さらに「治療学人工知能(AI)研究センター」も設置されました。千葉大学医学部には「千葉医学CHIBA MEDICINE」と呼ぶ140年にわたり受け継がれてきた、医学の伝統と誇りがあります。千葉医科大学の三輪徳寛初代学長は「獅肝鷹目行以女手(したんようもくおこなうにじょしゅをもってす)と語られました。中山恒明教授(元第二外科教授)は「Beginning is half the success, not giving up on the way is complete success.(まず始めること、始めたらやめないこと)の言葉を残されています。これは千葉大学医学部のポリシー begin. continueに受け継がれています。

講義に続いて、それぞれ事前アンケートで希望したラボツアー(研究室訪問)が行われました。今回は本校生徒の希望を受けて、19の研究室が受け入れをしてくれました。各研究室では、研究領域についての説明や研究室の見学、質疑応答などに対応していただきました。希望者が1名の研究室も気持ちよく本校生徒を受け入れていただきました。
 たとえば7名が参加した「免疫発生学」のラボツアーでは、まず小久保幸太助教より、先生の専門の「T型細胞」の研究について講義を頂きました。さらに「糖感受性遺伝子の機能解析」という先生の研究論文の内容の解説をいただきました。講義に続いて研究室に移動して、様々な研究機材の説明や、実際に研究をされている様子を見学しました。そして、小久保先生と免疫発生学研究室に所属する本校の卒業生、新見理恵医師(24期)と高橋侑里医師(23期)を囲んで質疑応答の時間をいただきました。さらに途中より研究室の平原潔教授も参加され、お話をいただきました。それぞれの研究室でも同様に、丁重な対応をいただき参加生徒たちは感銘を受けたようです。


ラボツアーの後、講義室に再度集合し、伊藤先生より千葉大学医学部附属病院の紹介が行われました。病院の理念や、患者さんの権利と義務、さらには治療を受ける「子どもの権利」についても説明がありました。そして緊急事態に対応するためのスペースが確保されていること、待合室の椅子もベッドになること、個室でなくても一人一人に窓がある病室の配置など、千葉大学病院の患者本位の姿勢が説明されました。
コロナ感染予防の関係で、残念ながら病棟の見学は出来ませんでしたが、全体を半分ずつに分け、伊藤先生の講義と隣接する千葉大学医学部附属病院の救急救命センターの見学が交互に行われました。
救急救命センターの見学では、救急救命センターの中に入れていただき、実際の救命医療の現状を救命医の先生方から説明をいただきました。さらに救急救命センターの所有する、エクモ(体外式膜型人工肺)装置を搭載した、特別仕様のエクモカ―に試乗させていただきました。救命の現場の緊張感も体感できて、とても貴重な体験となりました。



半分の生徒には、伊藤先生から「医師への道のり」というテーマで特別に講義を頂きました。千葉大学医学部のアドミッションポリシーの解説から始まり、医学部入学から医師国家試験、卒業を経て臨床研修、専門研修までの流れ、カリキュラムの特長、授業内容、医学英語、臨床実習、さらには海外研修など千葉大学医学部での学びのプロセスを丁寧に解説いただきました。

 最後に再び全員が講義室に集合し、対応いただいた伊藤先生や笠井大先生(医学部附属病院総合医療教育研修センター)に対して質疑応答が行われました。「臨床と研究の違い」、「必要な基礎知識」、「入試における地域枠と一般枠の違い」、「医師としてのやりがい」など、多くの質問が生徒より投げかけられ、それぞれに丁寧に対応をいただきました。気が付けば、予定の時間を超過してしまいました。

千葉大学医学部の本校生に対する期待がひしひしと感じられたセミナーとなりました。このセミナーに参加した生徒たちの、これからの学びのモチベーションが高まることが期待されます。
本校生のためにご尽力賜りました、千葉大学医学部の皆様に心より感謝を申し上げます。