DESIGNING LOVE! -GLFC 早稲田大学・英語モデル講義-

 11月13日(水)、早稲田大学国際教養学部から、石川竜一郎先生をお招きし、GLFCセミナーを開催しました。先生のご専門は経済学。タイトルは “DESIGNING LOVE!―INTRODUCTION TO NEW ECONOMICS THROUGH GAME THEORY”。 「恋愛をデザインする―ゲーム理論を通じた新経済学の導入」というセンセーショナルなタイトルに興味を惹かれたこともあってか、中3から高2までの約30名がセミナーに参加しました。本セミナーには石川先生と共同研究を行っている、本校35期卒業生の宮島 峻さん(東京大学)もゲストとして参加されました。セミナーは早稲田大学国際教養学部と同様、全て英語での講義でしたが、モチベーションの高い生徒が多く、一般生も英語での講義にひるむことなく、くらいついていました。

 初めに経済学の概説があり、先生の研究領域であるミクロ経済学やその領域がカバーする分野のお話がありました。続いてゲーム理論についての簡単な説明の後、具体的な恋愛状況で、「全員がそれなりに幸せになれる」安定マッチングに導く考え方を教わります。生徒たちは演習形式で、どの男子とどの女子を組み合わせるとよいのか、考え、議論を交わしました。同時にアルゴリズム解決という方法があることも学びました。これらが実社会において、系列の大学へ進学する際の学部の振り分けや、保育園の利用希望者と園のマッチングなどにも応用できるという説明があり、理論がぐっと身近に感じられました。 続いて、「ソロモン王のジレンマ」という有名な逸話の解決法として、メカニズムデザインという考え方を用いることで、ルールとシステムに基づいた解決が可能であること、そしてそれらの応用可能性を学びました。
 最後はお金が介入できない領域について経済学がどのようなアプローチをするのかについてでした。信頼関係が大切であること、また経済行動を捉えるためには、相手の文化的背景までも考慮に入れる必要があることが示され、大変示唆に富む内容でした。 受講した生徒たちは講義終了後も熱心に先生に質問し続ける姿が印象的でした。

 以下、受講した生徒の感想を紹介いたします。

◆私は、もともとゲーム理論は難しい話なのかな、と思っていたのですが、今回の講義を聞いてみると、石川先生にとても分かりやすく説明していただいたおかげで、ゲーム理論について知り、考えて、実践することができてとてもよかったです。また、国の経済状態や文化によってお金の分配方法が違うことがとても印象に残り、面白いな、と思いました。 (高1女子)

◆ポスターで「ゲーム理論から愛を考える」というテーマを目にして、どのような講義なのだろうと疑問に思い参加を決めました。英語での講義ということで理解できるか不安でしたが、表などを用いてわかりやすく説明してくださり、楽しく講義を聞くことができました。経済学はお金に関する学問というイメージが強かったのですが、お金と対象的なものとして語られることの多い「愛」を経済学で扱ったように、実際にはお金に限った話ではないのだと実感しました。恋愛における人々の行動原理を理論的に考えるのは新鮮で、とても興味深かったです。 (高2女子)

◆今まで、経済学は世の中のことをいろいろと数字で表したりデータを計算したりするすごく難しいものだと思っていたけど、今回、一見経済にまったく関係なさそうな恋愛などの身近なトピックを使って楽しく授業をしてくださったので、こんな身近なところにも経済との繋がりがあるのだということを知り経済学への印象が大きく変わりました。今志望大学や学部について考える中で、こんな学問もあるんだと視野が広がったし、講義前には知らなかった早稲田大学国際教養学部について調べて、英語を使う環境に行きたいという私の希望に合致しそうな学部を新しく知るきっかけにもなり、すごく貴重な機会になりました。 (高2女子)

◆今回の講義では、ある集団におけるパレート効率性を満たす付き合う人の選び方の話が印象に残りました。ただその状態を考える場合、付き合う人を選ぶ側が気にいっている人を「キープ」することが条件となり、少し戸惑いましたが、それが経済学における「ラブ」の捉え方だと思うと非常に面白いなと感じました。(実際には「キープ」はよろしくないと思います)経済学と聞いて、今まで株取引や経営といったものを想像し、少し遠い存在のように感じていたのですが、こういった日常的な事柄に落とし込んで考えることができる学問だとわかり、経済学部の新しい魅力に気付けた気がします。(高2女子)

ご多忙の中、本校生徒に対して、とても有意義な時間を提供いただいた早稲田大学の石川竜一郎先生に感謝申し上げます。