(株)JERAによるGLFCセミナー・「SDGSの達成に挑むプログラム」を実施しました。

学園祭や研修旅行、修学旅行といった学校行事が一段落し、中間試験が終了した11月をキャリアガイダンス月間(CM11・Career Month November)と呼称して、進路部により、様々なGLFCプログラムが用意されています。その皮切りとして(株)JERA(http://www.jera.co.jp/)による「SDGSの達成に挑むプログラム」が11月7日(月)に実施されました。このセミナーは(株)JERAで勤務されている、野原有実子さん(本校17期生)からの提案で実現しました。当日は、JERAのHR(Human Resources)統括部から4名の社員の方が来校され、セミナーの実施をしていただきました。以下、セミナーの様子です。

◆ JERAが取り組んでいること
 JERAは、エネルギー事業を営む日本の企業です。東京電力と中部電力との合弁企業で、日本国内の火力発電・ガス事業が中心の会社です。液化天然ガス (LNG) の取扱量は世界最大級です。JERAとは、「日本(JAPAN)の エネルギー(ENERGY)を新しい時代(ERA)へ」を意味しています。 世界に向けて大きく展開をしているグローバル企業です。

◆ 今回のセミナーのテーマと目標
今回のセミナーのテーマは、JERAが取り組んでいるSDGSのテーマの内の、7*・12*・13*に関する内容になります。それは気候変動と資源問題への取り組み。気候変動に関するパリ協定や、今エジプトで開催されているCOP27のことは皆さんも知っていると思います。世界のリーダーは環境問題を重視しています。
今回はその中でも地球温暖化の原因である「温室効果ガス」について考えます。その「温室効果ガス」の30%は電力から排出されています。そして、その排出量は世界の人口の増加に比例します。さらには近年のコロナ禍や、ロシアのウクライナへの侵攻などの世界情勢の変化も大きく影響します。
今回のセミナーでのグループワークテーマは、「日本の電力は、2050年までに全て再生可能エネルギーにすべきである」でした。全て再生可能エネルギーにすべきなのか、そうではなく別の手段で電力を賄っていくべきなのか、について考えてもらうグループワークです。

7* : エネルギーをみんなに そしてクリーンに  
12* : つくる責任 つかう責任  
13* : 気候変動に具体的な対策を

◆ グループワークとその結論
グループワークは5つのグルーブに分かれて、35分間のディスカッションを行う形式でした。

その後、各グルーブのディスカッションの内容がグループの代表により発表されました。結論は大きく分けると否定論が4グルーブ、肯定論が1グループ。ディスカッションの内容は、「気候変動や自然災害のリスク」、「発電コスト」、「政府のリーダーシップや教育の重要性」、「資源輸出国の経済」、「新たな再生可能エネルギーの開発」、「家庭用蓄電機の有用性」など多岐の内容にわたりました。

◆ 発表に対する講評
各グループの代表からの発表の後、その発表に対する講評がJERA社員からフィードバックされました。その要旨は以下の通りです。
 〈JERA社員からのフィードバック要旨〉
エネルギーに関わる社会問題の解決手段には正解はありません。それを私たちは「3Eのトリレンマ」と言
っています。3Eというのは「Economy Growth(経済成長)」・「Environmental Protection(環境適合性)」・「Energy-self Security(エネルギーの供給安定性)」のことで、この3つ関係の難しさを表す言葉です。そしてエネルギー問題というのは、今日のウクライナ問題など、常に解答が一定ではなく変化するという特性があります。
そして皆さんの導いた結論は、たとえ否定論であったとしても「教育」、「技術革新」、「エネルギー・セキュリティ」といった未来志向の視点からしっかりと考えられた内容でありました。JERAのインターンシップに参加している大学生と変わらないレベルでありました。

今回の「再生可能エネルギーにすべきか」というテーマの根本にあるもの、それは「脱炭素」という問題
です。この本質をしっかり見て議論ができているでしょうか。日本は再生可能エネルギーでの発電量は世界第6位です。太陽光発電だけでは世界第3位になります。風力発電や地熱発電にも取り組んでいますが、まだまだいろいろな問題があり、再生可能エネルギーの比率を増やすことは、実は容易ではありません。そこでJERAが取り組んでいるのは「脱炭素」、つまり石炭ではない燃料を利用しての発電です。例えばLNGはもちろんのこと、アンモニアや水素を混焼する発電にも取り組んでいます。この結果「2050年にCO2の排出量が0になること(ゼロエミッション)」を達成したいと考えています。

◆ まとめ
90分にわたるセミナーでしたが、あっという間に時間が過ぎて行きました。JERAの皆さんのSDGSや、未来社会を見据えた新たなエネルギー開発への真摯な姿勢が、ひしひしと伝わりました。参加した生徒は、エネルギー問題に対する視点を新たにしたことと思います。本校生徒のためにセミナーを実施いただいたJERAの皆様に心より感謝を申し上げます。