医学部見学セミナー2022を開催しました

 冬期休業に入った12月28日(水)、今年も成田市の国際医療福祉大学医学部(以下IUHW)のご支援の下、GLFCセミナー・医学部見学セミナー2022を開催しました。当日は京成本線・公津の杜駅に中学3年生から高校2年生の参加希望者37名が集まりました。

 セミナーはまずは大講義室にて、医学部長の河上裕先生から、IUHWの紹介、医学部教育の概要についての説明と模擬授業がありました。

DSC_0382

 講義は、河上先生自身のこれまでの経歴や経験を踏まえながら、「医学部で何ができるか」「どのような医学生になってほしいか」をテーマに、生徒たちに「将来何をしたいか」「今、何をすべきか」を問いかける形で、進行しました。
 まず、医学部(医学生)に求められるものとして、先生は「才能を社会に還元する使命」「科学的な論理と最新医学の習得」「豊かな人間性」「国際性」の4点を挙げられました。医学は常に進化を続けていて、10年前の研究が現在では現場で普通に活用されている技術や治療法を具体的にあげながら、医療に携わる人たちは「社会に還元できる教育・研究・診療における成果を挙げること」に使命感を持って取り組んでおり、その発展を支え、ついていくためには、世界中にある膨大な医学情報の中から学ぶべき本質的なものを適切に選ぶ論理性と、生涯に渡って学び続けていく意思が必要であると、述べられました。
 また、先生自身の臨床・研究医としての経験、12年の海外留学の経験を踏まえながら、様々な背景を持つ患者に多職種チームで対応するためには、お互いを理解する感性や素養が必要であること、そして実際にIUHWで先生が行っている「Immune System (免疫システム)」についての講義を英語でされ、国際共通語である英語の習得は最新医学を学ぶだけでなく、国の垣根を越えた患者や医療関係者とのコミュニケーションに欠かせないことを生徒に示されました。
 (写真:1405)
 質疑では、生徒たちに部活や学校行事をはじめ、大学受験のための勉強だけでない高校生としての現在、身の回りにある物事に関心を持って取り組んでほしい、と熱く訴えられていたのが印象的でした。

 続いて、岡本先生の模擬講義と椎間先生による模擬実習がありました。
————–
◆模擬講義「しなやかな脳」(岡本秀彦先生)
 講義は、まず絵や音に関する錯覚のクイズから始まり「視覚や聴覚でなぜ錯覚が起きるのか」という疑問を生徒に問いかけ、それを検証する流れで進みました。
(写真:1407)
 脳波を測定して脳の働きを調べる「ニューロイメージング」によると、同じものを見ても脳によって受け止め方が違っており、外界からの感覚情報を脳がこれまでの経験から補正を加えて認識していることがわかってきたそうです。その活用例として、突発性難聴における脳の働きの解析から、新しいリハビリ方法が提案され、一定の成果を挙げていることを述べられました。

DSC_0385

————–
◆模擬実習「診断は?-聴診器を使って呼吸音を聞いてみよう-」(椎間優子先生)
 シミュレータを用いた診察の実習でした。
 まず、生徒全員に本物の聴診器が渡され、その使い方の説明から始まりました。
(写真:1408)
 実習は、呼吸音聴診シミュレータを用いて、まず正常な人間の呼吸音を聴診器で聞いた上で、2種類の異なる症状の人体モデルの呼吸音を聞いて、どのような病気なのかを診断するというものでした。
 生徒にはあらかじめ、呼吸音と考えられる病気のリストが配られ、そこから選ぶ形式であるものの、聴診器を当てる部位によって呼吸音の聞こえ方が全く異なるので、生徒は何度も聴診器をシミュレータに当てながらグループごとに相談・検討していました。
DSC_0390

————–

 3時間という時間を感じさせない濃い内容に、生徒は熱心に聞き、積極的に実習に取り組んでおり、これから進路を決定する生徒たちには、よい機会・経験となったことでしょう。

 最後に、ご多忙の中生徒に直接講義してくださった医学部長の河上先生、岡本先生、椎間先生に御礼申し上げます。また、本年も本校生徒を快く受け入れていただいた弘海先生をはじめとしたIUHW のスタッフの皆様に心より感謝を申し上げます。