メディカルガイダンス2021(医学部セミナー)

◎ メディカルガイダンス2021(医学部セミナー)を実施しました
2月13日(土)、進路部のGLFCセミナーの一環として「メディカルガイダンス2021」を実施しました。今年は西織浩信さん(成田赤十字病院・心臓血管外科 26期生)、北本愛依さん(浜松医科大学附属病院・産婦人科 27期生)、米倉由華さん(東京医科歯科大学5年生 30期生)の3名の先輩を講師にお招きしました。
セミナーは第一部では、「渋幕から医師を目指し、そして今」というテーマで、お一人20分ずつの講話をお願いし、後半では事前のアンケートで、参加者から寄せられた質問事項を中心に、パネルディスカッションを実施しました。

◇ 第一部 先輩による講話 (要約)
* 米倉由華さん(東京医科歯科大学医学部5年生)
・本校には千葉県郡部の中学校から高校に入学、一浪して東京医科歯科大学に入学。医学部への進学は中学時代から漠然と考えていたが、将来の安定性や理数科目が好きだったことなど、いろいろなことが積み重なって、気が付いたら決めていた。
・高校時代は室内学部と水泳部(マネージャー)に所属し、「全国高校生クイズ選手権」にも出場した。東京医科歯科大学への進学は高2で参加したオープンキャンパスで一目惚れしたことと、学校で開催された東京医科歯科大学の秋田恵一先生による模擬講義に参加して感銘を受けたことにある。
・大学ではバドミントン部に所属し、部活と学業の両立を基本に、アルバイトも行っている。4・5年生で行われるプロジェクトセメスターと呼ばれる研究室に配属されるプログラムでは、研究論文を学会で発表するという貴重な経験をした。今はオンラインの実習と、コロナ禍で少し遅れたが臨床実習がいよいよ始まりモチベーションが高まっている。
・実際に東京医科歯科大学に入ってみて、教育への熱意や留学や研究等のプログラムの充実など、良かった面は多いが、逆に授業の厳しさや競争の激しさなども感じている。「医学部で本当に良いのか」をしっかりと考えて、選択をしてもらいたい。将来の進路については、千葉県に戻ろうと考えている。それは千葉県全体、特に私の出身地(郡部)では医療過疎が著しく、漠然としてではあるが地元の医療に貢献したいと考えている。
・最後に、自分でもできるという「根拠のない自信」を持つこと、どんな授業でも1つでも学ぶことがあったら受ける意味があるという「謙虚な勉強のすゝめ」、そして将来の「奇跡なような体験」のための「挑戦のすゝめ」(なにかに挑戦する気概を持つこと)を皆さんに提案したい。

* 北本愛依さん(浜松医科大学医学部附属病院産婦人科 秋田大学医学部卒)
・本校には中学校から入学、中高時代は硬式テニス部に所属した。NZ研修での思い出や高2のメモリアルコンサートでのソリスト(ピアノ)の経験は一生の宝物になっている。法学部か医学部への進学を考えたが生物が好きだったことと姉(医学部に進学)の影響もあり医学部への進学を決めた。成績はいま一つだったが最後まで医学部を目指す友達と自調自考室で勉強した。部活も最後まで続けた。秋田大学医学部は、入試の配点が自分に合っていたので決めた。
・秋田大学では初めての一人暮らし、雪国、車の運転などを経験し、部活は陸上部、女子バレー部、全学のピアノサークルにも入部した。2年生から医学の勉強が始まり勉強のプレッシャーが徐々に高まっていった。4年生からCBT・OSCEと呼ばれる臨床実習のための共用試験が始まった。5年生からは臨床実習が開始された。6年生では機会を得てフランスのリール大学産婦人科への短期留学を経験した。
・卒業後の初期研修は神奈川県の平塚市民病院を選択、1年目は各科を1~2か月程度でローテーションされ、救急外来や当直を経験した。マラソンや院内コンサートなどに参加した。2年目に学会発表などを経験して産婦人科を専攻に決める。この年に結婚し、専攻医研修を浜松医科大学に決める。
・現在は浜松医科大学医学部附属病院で専攻医として勤務。日々、カルテチェック、回診、カンファレンス、手術、病棟勤務に勤しむ。当直も月8~10日。来年から市中病院での研修を予定している。
・渋幕の友達は一生もの。他業種の話も渋幕の友達が情報源。
・医者は決して楽な仕事ではない。いろいろな人と話をして、しっかりと考えて欲しい。

* 西織浩信さん(成田赤十字病院心臓血管外科 千葉大学医学部卒)
・本校には中学校から入学、卓球部で活躍。高1の冬に学校でメディカルガイダンスを受講、「人の役に立つ仕事がしたい」と医学部の受験を決める。
・2011年に千葉大学医学部に合格、「医師になれる!!地域/世界で活躍する人になりたい!!」と決意。1年次の西千葉での教養課程をへて2年次から亥鼻キャンパスで基礎医学を学ぶ。臨床留学を志し英語の勉強に熱心に取り組み、カナダの大学に語学留学する。3~5年次は医学英語診察コースに所属し、研究室で志願して基礎研究に取り組んだ。国内外で研究発表や論文発表の機会を得る。4年次からは本格的な専門分野の学習が始まり、5年次の病院実習を経て、6年次には機会を得てアメリカのイリノイ大で病院実習を体験し、様々な人種の中で働く面白さを実感した。
・部活にも参加していて、ヨット部に所属し社会性や後輩先輩の繋がりを学んだ。
・初期研修は聖路加国際病院を選択した。とても忙しかったが、幅広い医学知識と患者対応力がついた。自主的に救急外来でも研修し、医師としてできることが格段に増えた。充実した日々で、その結果、心臓血管外科を専攻したいと考えた。
・その後、後期研修を千葉大学医学部附属病院で行い、現在は地域の基幹病院である成田赤十字病院で勤務をしている。朝のカンファレンス、手術、ICU入室などで様々な症例に対応している。ECMO(体外式模型人工心肺)などの先端医療技術の習得や、手術の練習やシミュレーションなど、技術の向上に日々勤しんでいる。各種研修会、学会や研究会への参加や論文の発表にも取り組んでいる。
・「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す」という言葉を座右の銘としている。

◇ 第二部・パネルディスカッション

第二部では事前に参加者から提案してもらった質疑事項をベースとして、3名の皆さんによるパネルディスカッションを実施しました。テーマは、「大学での活動や学び」、「医師としての心構え」、「研修先や勤務先の選択」、「未来の医療」、など多岐にわたり、とくに「コロナ禍における経験が今後の医療制度に与える影響は」という質問では、実際の医療現場における状況が伝えられ、よい学びができました。最後に、これから始まる受験勉強に対するアドバイスをいただきディスカッションは終了しました。ディスカッションの終了後にも直接先輩に質問をする生徒たちが残り、2時間程度の予定のセミナーでしたが、終了は3時間近くになってしまいました。

 コロナ禍にも関わらず、後輩のためにと駆けつけてくれた先輩の皆さんには心より感謝を申し上げます。今年は医療現場に従事する皆さんの大変な苦労を目の当たりにする機会が多い中で、将来、そうした世界での活躍を企図している生徒たちの姿は本当に頼もしく見えました。本セミナーの開催にご尽力賜りましたすべての皆様にも重ねて感謝を申し上げます。