衆議院議員の福田かおるさん(2004年卒)を講師に迎え、本年度の開校記念講演会を開催しました。福田さんは先の衆議院選挙で初当選を果たされました。卒業生で初めての国会議員です。
〇 「こんなはずじゃなかった」という大人がたくさん
社会には、口には出さなくても「こんなはずじゃなかった」と思っていそうな方がたくさんいます。「高学歴」の方々にも多いです。一方で、人生を楽しんでいる・活躍している大人も少しいます(私も自分の人生が好きです)。生徒の皆さんには楽しい人生を送っていただきたいと思います。
では、なぜそう思う人が多いのか。学生時代は「教えてもらえる」、「回答に対して正否を判断してもらう」環境ですが、社会に出ると「問いは自身で考える」、「正否は誰も判断してくれない」、「いつ、何をしていいかは自分で決める」環境に変わります。
〇 大切なのは、①道を拓くこと、②逃げ道を作ること
自分が好きな道を拓く力と、つらい・苦しいと思う道から逃げる力が大切です。そのためには、まず「動くこと」ことです。得てして「頭が良い人」ほど動くことは苦手です。先に頭で考えすぎて動かずに終わってしまいがちです。
〇 動くということ
学生の頃や農林水産省勤務の頃、バングラデシュやタイでのインターン、日本の農産物の輸出拡大など、とにかく動き、飛び込んだら、扉が開いていきました。世間では「こんなことやっていいの、できるの」といわれるようなこともやったように思います。そして、家で「私が総理大臣だったらこんなことをやりたい」と喋っていたら、夫に「じゃあ、自分がなったら」と言われ、良い案だなと思ったことがきっかけで、政治家への道がスタートします。かたっぱしから政治家に連絡し、会ってもらえた政治家には「やめなさい」と諭され、親には泣かれたこともありました。毎日のように駅に立ち、時に罵声を浴びせられても「人の役に立ちたいと言っているが、まさにこのひとの役に立ちたいと思って働けるのか」と自問自答の機会としたり、数えきれないほどの多くの方に集会の案内をしてまわるなどしました。ただただ私が「国政の新しい風になる」ことで、日本社会の悲観や孤独を政治の力で払しょくし、明るい未来をつくりたいという思いで動いてきました。
〇 なぜ君たちにこんな話をするか
日本の将来は簡単ではありません。急激な人口減少と高齢化、低い経済成長、安全保障リスク、大規模災害の懸念、など課題が山積しています。また、私たちの仕事も生成AIの登場により大きく変わろうとしています。特に、問いが決まっているような仕事こそ、生成AIに置きかえられてしまうのです。だから、問いを決める力、好きな道を切り拓く力を意識して身につけることが大切です。それを下支えできるよう、人生のどのステージでも教育を受けることができる社会をつくりたいと思っています。
〇 鍵はフットワーク
まず、第一歩を踏み出しましょう。うまくいかなくても落ち込む必要はありません。続かなくてもかまいません。早いうちから、おもしろい、会ってみたい、やってみたい、という直感に従って動く癖をつけてみましょう。意識や練習で変えられるものはたくさんあります。やってみたことが自信につながります。居場所がたくさんできて、逃げ道も見つけられるようになります。
〇 最後に
ひとつずつ、ひとつずつ、我慢強く、でも明るく楽しく、皆さんとともに歩いていきたい、と思います。今日の私の話で、皆さんが自身の将来について少しでも前向きに考えることができれば幸いです。
お話のあと、十分に生徒からの質問のための時間を取っていただきましたが、質問が途切れることはありませんでした。好きなことの見つけ方、勉強を好きになる方法、苦しくてもなぜ逃げずに政治の道を進むのか、話したいことを話せるようになるためには、応援される人間になろう…ひとつひとつの質問に丁寧に的確なアドバイスや励ましをいただき、生徒も自信につながったようです。
ちょうど国会会期中で、審議のなかった貴重な土曜日にご講演いただきました。ご家族からの言葉を今度は私たちから「私たちの希望と願い」とともにお送りしたいと思います。
なお、当日の様子は福田さんのHP「近況報告」でも紹介されています。