The 39th Memorial Concert


田村記念講堂に於いて、第39回メモリアルコンサートが開催されました。指揮は安冨洋先生、上野の森アンサンブル(東京芸術大学大学生及び卒業生を中心としたオーケストラ)による演奏です。

シューマンのピアノ協奏曲イ短調の第一楽章では、本校高校2年の生徒がソリストとしてオーケストラと共演しました。ソリストの激しくも優しいピアノの音色と、オーケストラの力強い音が見事に調和し、美しい旋律が会場を満たします。シューマンは師の娘クララと恋に落ち、多くの困難を乗り越えて結婚します。クララというミューズを得たシューマンはその後も数多くの名曲を生み出しました。このピアノ協奏曲イ短調はふたりの結婚後に完成し、クララの演奏で世に発表されました。シューマンとクララの愛がなければ生まれることのなかった作品です。哀愁を帯びた美しいメロディーは、時代を経た今もなお、ふたりの愛の強さを聴衆に伝えます。

美しい音、美しい曲を「美しい」と感じることが、芸術的な感性を育てます。その感性はやがて創造力となり、生徒が自ら感じたことや考えたことを表現する力へとつながります。AIの進化が加速し、従来の価値観が揺らいでしまうことが多いように思える昨今において、なにかを「美しい」と感じることはより大切なことなのではないでしょうか。メモリアルコンサートがその機会の一端となることを願います。

曲目
歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲(モーツァルト)
ピアノ協奏曲イ短調 第1楽章アレグロ・アフェトゥオーソ(シューマン)
交響曲第35番 ニ長調「ハフナー」(モーツァルト)