6月11日(火) 「自調自考」を考える 第319号

新しい「自調自考生」中学297名、高校50名を迎え、渋谷幕張中学・高校の新学年が始まっている。

五月立夏(りっか)、小満(しょうまん)、芒種(ぼうしゅ)と季節は移り、元号は「令和」と改元された。
第126代徳仁(なるひと)天皇即位。元号とは年に付ける称号のこと。世界初の元号は、中国、前漢の武帝が紀元前2世紀に定めた「建元」とされる。漢字や儒教などの文化とともに日本に伝わり、紀元645年「大化」皇極天皇から始まる。以来確認出来る限り、全て中国の古典(漢籍)から引用されるが、「令和」は初めて、日本の古典(国書)『万葉集』から引用される。『万葉集』を英訳したリービ英雄(ヒデオ)によると、「令」はSplendid、「和」はSoftに当てている。そしてこう記述する。「日本文学が生まれた時代の『初春の令月』に、二つの言語を並べて新たな表現を創った歌人たちが、きっとバイリンガル・エキサイトメントを感じたであろう」(リービ英雄(ヒデオ)・春のエキサイトメント 日本経済新聞 5/19 朝刊より)

そして6月。水無月。芒種末候。梅子(うめのみ)黄(き)なり。
梅雨入り(暦の上では太陽の黄経が80度に達する日=6月11日頃)となる。栗花落(ついり)とも云う。雨のなか栗の花が咲き散ることからこう云う。

移りゆく時見るごとに心いたく
 昔の人し思ほゆるかも
大伴宿禰家持 万葉集巻二十 四四八三

 この時期、学校では一学期の沢山の行事を仕上げている。中一野田上花輪研修、スポーツフェスティバル等、これ等行事全て生徒諸君の自主的活動として完成させ、達成感は強く、自己肯定感を育(はぐく)んでいく。校外活動にはこの他、「科学の甲子園」「国際英語ディベート大会」「模擬国連」等、全国的行事に参加しその力を示す時期でもある。

ところで今年6月に大阪を会場としたG20サミットが開催される。地球社会で二十世紀に確立されたと考えられた民主主義体制の優位性と市場経済の正統性が、二十一世紀の今日「格差問題」「地域統合問題」そして「力による現状変更問題」「ポピュリズム横行問題」といった変数要因によって大きくゆらぎ不安定化している。これに対してG20が有効な手段を創り出せるのか大いに気になる処である。そして、日本では今年スポーツの世界的イベントであるラグビーワールドカップ(9月)、次の2020年には東京オリンピック大会・パラリンピック大会(7~9月)が開かれる予定。極東の地日本での世界にかかわる行事が目白押しと云えよう。

世界の9割以上の国が18歳選挙権を認めている。2007年から16歳選挙権を認めているオーストリアという国もある。中高生もこれ等の催しをただ楽しむだけの他人事(ひとごと)と考えず、自分自身に関わるものとして受け止め(Sense of Agency)この機会(チャンス)を生かし、催しを理解しよう。

ラグビーという球技は英国発祥と云う。その英国ロンドンで開催された2012年のロンドンオリンピック大会は、近代オリンピック史上最も環境に配慮した大会であり、またパラリンピック大会を最も成功させた大会でもあった。東京オリンピック大会(2020)は単なる「大運動会」にするのではなく、世界の最先端を行く「パラリンピック大会」としても成功させ、Equity意識の拡充徹底=特に青少年教育として=の素晴らしい機会(チャンス)となることを私としては期待している。

またG20については、一昨年日本で開かれたG7伊勢志摩サミットとの比較で、G7からG20に変わることで議題にされるテーマはどうなったか、そして世界での受け止めはどうなっているか、更に将来の展望はといった問題など中高生が気になる問題が沢山ありそうだ。

政治参加も含め自調自考生、どう考える。