渋幕の美術作品

校内には美術作品がいたるところに展示されています。美は天才を生む土壌である、との言葉通り、美を愛でる心と学問の創造には密接な関係があると言われています。本校では、受験科目だけでなく音楽と芸術をとても大切にしており、その道に進む卒業生をほぼ毎年送り出しています。
今回の「渋幕の近況」では、校内に展示されている美術作品を卒業生の作品中心にご紹介いたします。

 
1. 子安 謙志(4期卒業生)

「黒の肖像」【新棟4階】

 

2. 多田 布美子(6期卒業生)

「時の滴」【新棟5階】

「光を孕む」【新棟1階 図書館】

 

3. 今井 吾郎(7期卒業生)

「PRESSURE」【高校棟1階】

幾重にも重なった帯の輪がある力によって押しつぶされ、そこから逃げ出すように両端が膨らむ。
かたいものとやわらかいもの、静と動、個人と社会、そして人間と自然。
そんな対比を鉄で表現した。

 

4. 原 太一(16期卒業生)

未明の出発(原太一 2017 Oil painting)【新棟2階】

まだ見ぬ土地をめざし、旅にでる。
新たな出会いに胸を馳せ、はるかな地平に向かって進んでゆく。
旅の果てにたどりつくのは、どんな場所なのか――
交錯する日常と非日常。夢と現実の境が薄くなる。
わたしたちがいる場所は、もしかしたらとても不思議な場所なのかもしれない。
 

アーモンド通り夜想曲(原太一 2013 Oil painting)【新棟2階】

 

5. 松元 久子(元本校美術科講師)

器-ヤマ-(松元久子 2012 Ceramic Glaze Acrylic)【新棟1階 図書館】

圧倒的な存在感をはなつこの像は、「神供(ジンク)」をテーマに製作されました。人は太古の昔から神供を供え、祈りを捧げてきました。この作品は、母なる大地をイメージし、神へ捧げる衣服をかたちにしたものです。現代の高級品であるクロコダイル革をモチーフに、日本に古くから伝わる土偶や御神木と融合させました.

 

6. 片岡 脩(校章考案者、デザイナー)

片岡 脩(1932-1997)氏は広島出身のグラフィックデザイナーです。13歳で被爆し、その惨状を後世に伝えたいと強く願い、1985年から自費で平和ポスターの製作を開始しました。生涯をかけて残した作品は全72点。どの作品からも、平和を希求する彼の強い気持ちが伝わってきます。片岡脩さんには、本校の校章をデザインしていただきました。

平和ポスター「LOVE・PEACE」

Let us live forever in Peace.
平和のうちに、いつまでも生きていけるように――
Over and over, I pray for Peace.
繰り返し繰り返し、平和を訴え続けなければ――
Various people can live at Peace.
平和だからこそ、さまざまな人達と生きられる――
Each of us can do something for Peace――
ひとりひとりに、何かできることが必ずある
“PIKA” the sight, the sound of the flash of August, 45 years ago,
広島・8月、45年前、一瞬の閃光、あの日から始まった人生がある。
Early aging has streaked white the hair of the boy who was then 13 years old,
13才の少年だったボクの髪に、白いものが目立つようになった。
Anguish and pain has been his lot, yet he would live so that our
心の傷、肉体の苦しみを背負って、一日いちにちを生きてきた。
Children and their children’s children will hear the message of
生きて、子供たちへ、さらに次の世代へと伝えたいことがある。
Eternal peace to wrap the world as in a comforting cloak.
地球上の人間を、「平和」というあたたかい衣裳で包みたいから。
【高校棟1階】

【理科棟4階】

「校章」【エントランス】

 

7. 藤貫 喜由子(渋谷校美術科講師)

「風波」【高校棟3階】

色の重なりからエネルギーがうまれる。
生命の鼓動と、無限の躍動感。
わたしたちはもっと強くなれる――

「渋谷の後に・・・」【新棟4階】

「3.11がんばろう」【高校棟3階】

 

8. 麻生 秀穂(東京芸術大学名誉教授)

「想」【田村記念講堂】

「海のしらべ」【中学棟1階】

 

9. 麻生 マユ

「前へ」【昇降口】

手にしているのは自身の過去。
そこにどんな物語があるのか、誰にもわからない。
でもその視線は前を、未来をみつめている。
わたしたちは一歩踏み出すことができる――

 

10. ラファエロ・サンティ

「 Scuola di Atene~アテナイの学堂~」(プリント画)【新棟5階】

バチカンのサンピエトロ大聖堂「署名の間」の壁面にあるこのフレスコ画は、当時権勢を極めていたローマ教皇ユリウス2世の庇護下にあったラファエロによって描かれました。
ラファエロは、自分の生きた時代を、古代ギリシア時代に匹敵するほどの知と芸術に満ち溢れたものと考えたのでしょう。この作品にはプラトンとアリストテレスをはじめ、多くの古代ギリシアの哲学者が描かれています。製作年代は1509年~1510年とされ、まさしくルネサンス最盛期です。ルネサンスとは、“再生”――古代ギリシアの叡智を蘇らせ、現代に継承させることを意味します。ルネサンスの精神を見事に表現したこのフレスコ画は、ラファエロの最高傑作ともいわれています.