2017年6月15日2019年1月26日 自調自考を考える 6月15日(木)「自調自考」を考える 第301号 平成二十九年五月立夏。小満、生命が次第に満ち満ち、日の光がかがやく季節。六月芒種、稲や麦など穂の出る植物を撒くこと。稲の穂先にある針のような突起を芒という。そして雨の季節。「梅雨」と呼ばれる雨が降り梅の実が黄色く熟し新緑もほぼ出揃い、雨に光る美しい緑が映える。 梅雨の月があって白い花 種田山頭火 この「美…
2017年4月7日2019年2月12日 自調自考を考える 4月7日(金)「自調自考」を考える 第300号 四月、卯月。清明初候、全てのものが清らかで生き生きするころ。若葉が萌え、花咲き、鳥が歌い舞う、生命が輝く季節の到来。 大陸の東端と西端で温帯の日本と英国を比較すると、地形、風土の違いで、動植物の種類と数が圧倒的に違う。その豊かな植物がこの時期、一斉に咲き賑わう。 四月八日は灌仏会。浴仏盆に誕生仏を置き、…
2017年4月7日2019年1月26日 自調自考を考える 4月7日(金)「自調自考」を考える 第299号 校内報「えんじゅ」の巻頭言として校長先生から生徒への折々のメッセージが送られます。必ず「自調自考生、どう考える」という文言で締められるとおり、格調高く生徒へ問題が提起されます。 三月、弥生。四月、卯月。 昼と夜が同じ長さになる春分の時期を目前にして、季節は啓蟄、末候、菜虫蝶と化す。蝶は「夢虫」と呼ばれる…
2017年3月1日2019年1月26日 自調自考を考える 3月1日(水)「自調自考」を考える 第298号 三月、弥生。雨水末候、草木萌え動く。 古来自然と人は近しく暮らしていた。この時期、春の気配が増し、草木の息吹をそこここに感じる。 石走る垂水の上のさわらびの 萌え出づる春になりにけるかも 万葉集巻八春雑歌 志貴皇子 春の到来をよろこぶ気持がすーっと伝わって来る。 渋谷教育学園幕張高等学校は第三…
2017年1月7日2019年2月12日 自調自考を考える 1月7日(土)「自調自考」を考える 第297号二千拾七年、平成二十九年、暦注の干支では丁酉の年となる。 十干の丁は陰の火を表し植物が成長してきて安定した状態に達したことを意味する。十二支の酉は陰の金を表し、果実が成熟の極限に達した状態を表すとされている。 紀元前十七世紀頃の中国に起因する哲理として陰陽五行説がある。これを年、月、日に当てたものの大きな…
2016年12月22日2019年2月12日 自調自考を考える 12月22日(木)「自調自考」を考える 第296号 二学期が終了する。学校は冬休みに入る。短いが年が改まる大切な期間。有効、有益に利用したい。季節は小雪、大雪と続き、冬至となる。 一年で一番昼が短く、これから日が伸びていくので古代は冬至が一年のはじまりであった。この時期楽しむ柚子湯は、かつて一年のはじまりであった冬至に柚子の香りや薬効で体を清める禊の意味が…
2016年11月18日2019年1月26日 自調自考を考える 11月18日(金)「自調自考」を考える 第295号 秋分、寒露、霜降と続き季節は「立冬末候金盞香し」となる。金盞とは黄色い冠をいたゞく水仙の別名。水仙の花が咲き、芳しい香りが漂うころを意味する。 「或る霜の朝水仙の作り花を格子門の外よりさし入れ置きし者の有けり」(樋口一葉『たけくらべ』) そして、今年も盛大な「ハロウィーン」の季節を迎えた。ケルトの民俗行…
2016年10月7日2019年1月26日 自調自考を考える 10月7日(金)「自調自考」を考える 第294号 九月、長月。白露初候草露白し。この時期学園は「槐祭」を迎えた。一学期のスポーツフェスティバルと対になる学園文化のお祭りとして最大の行事である。今年は「キャンパスに色を」をテーマとし、「アーティスティックな文化祭」を目指すことになった。グローバル社会という激動期、時代はグローバルコンセンサス(global c…
2016年7月19日2019年1月26日 自調自考を考える 7月19日(火)「自調自考」を考える 第293号 七月、文月。八月、葉月。 季節の移ろいを表わす二十四節気では、この時期を小暑、末候、鷹乃学を習うとして鷹の雛が巣立ちし一人前になる時期と重ねる。 学校は、小暑、大暑、立秋、処暑と云われる季節、夏休みに入る。この時期「子供より親が大事、と思いたい。」で始まる太宰治の最後の作品『桜桃』に因んで「桜桃忌」が…
2016年5月13日2019年1月26日 自調自考を考える 5月13日(金)「自調自考」を考える 第291号 平成二十八年五月、立夏次候、蚯蚓出。 五月、卯月。風薫る候。風薫るは、漢語「薫風」を和訓して作られた。 唐の詩人白楽天(772~846)の「首夏南池独酌詩」、 薫風自南至 吹我池上林 よりとったようだ。「薫風」と書くと、香りが風に乗ってやってくるような気がするが、もとの意はこの詩にあるように「南からの風」…